岡田純良帝國小倉日記

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やっぱり面白い、潮五郎節(下)。
10月9日
やっぱり面白い、潮五郎節(下)。
 「戦国風流武士 前田慶次郎」[海音寺潮五郎著, 文春文庫]
 一昨日からの続きで、前田慶次郎でもなく、その仕官を助けた直江兼続が関ヶ原を前に徳川家康に読まれることを前提で、知人に書き送った「直江状」の話を続けたい。
 当時、上杉家は中央を引き上げて、一度、領地へと戻る格好を取ったが、上洛した時に持ち出した年貢を全て引き上げて、会津で築城に取り掛かった。各地の古い城では壁を塗り直し、補強した。その噂は、上杉家中にいた藤田能登守を通じて家康へ密告された。家康は直江の友人に命じて、上洛して家康に面談せよと書き送らせた。「直江状」はこの書状に対する返信である。続けたい。

「戦国風流武士 前田慶次郎」[海音寺潮五郎著]表紙。 (1).JPG

 「心中別心なく候へども、逆心天下にその隠れなく候、妄りに上洛、累代弓箭の覚まで失い候条、讒人引合御糾明これなくんば、上洛罷成るまじく候、右の趣景勝理か否か、尊慮過すべからず候、就中景勝家中藤田能登守と申す者、七月半ばに当国を引切り、江戸へ罷移り、それより上洛候、万事は知れ申すべく候、景勝罷違い候か、内府様御表裏か、世上御沙汰次第に候事」
 「心中に逆心ないといえど、逆心が天下に流布されている中で、不用意に上洛したなら、上杉の武勲の栄誉は累代まで失われるでしょうね。讒言を言う者を引き合わせて糾明をすることができないなら上洛は難しいということになりますが、右に記した趣旨景勝が正しいかどうか、お間違えなきよう、よくよくお考えください。とりわけ、景勝家中の藤田能登守と申す者が、七月半ばに国を捨て、江戸へ移り、それから上洛したこと等、全ては知れ渡っており、景勝の考え違いか、家康様に表裏があるのか、世の中ではどう見るでしょうか」
 「此方より手出し候て天下の主になられ候ても、悪人の名逃れず候条、末代の恥辱と為すべく候、此処の遠慮なく此事を仕られ候や、御心易かるべく候、但し讒人の儀を思召し、不義の御扱に於ては是非に及ばず候間、誓言も堅約も入るまじき事」
 「たとえ当方から戦を仕掛けて天下の主になったところでも、悪人の名から逃れることはできません。末代までの恥辱となるでしょう。このことを考えないわけはありません、ご安心下さい。ただし、讒言を言った者の言葉を信用して、景勝を不義と扱うようでは是非に及びません。誓いも約束も必要ありません」

     「かぶき者 慶次」(1).jpg

 これで家康は激怒し、上杉総攻撃に動くのだが、進軍中に背後で石田三成が挙兵した。関ヶ原が勃発し、家康は引き返す。上杉家は信越で徳川方の勢力との攻防が続いたが、関ヶ原で雌雄が決着したことを聞き、米沢に撤退する。
 後年、景勝は家康に謝罪することになり、家康を激怒させた直江兼続も命脈を保った。それほど直江兼続の名も聞こえていたということになるだろう。そもそも直江の書状で上杉を攻める決意をしたのだから、兼続と景勝は一心同体である。実際、上杉は殿様の景勝と大老の兼続の2人の合議で政治が動いていた。
 徳川期に入って、江戸城内で隻眼の伊達政宗に挨拶もせずにすれ違った話もいい。
 「政宗公とは戦場では幾度もお目にかかっておりましたが、いつでも後ろ姿しか拝見したことがなく、一向に気がつかず失礼した」
 武士が背中を見せるのは背走した時だ。呼び咎めた正宗に平然とそう言った由。これは知性と機略が無ければ吐けないセリフで、慶次郎も面白いが、兼続も痛快無比。40年前から「直江状」も真贋の騒動が起きている由。手紙はホンモノだと俺は想っている。
 上杉家中にあって伊達政宗と斬り結んだ岡左内貞綱の痛快な逸話にも筆は割かれていて、潮五郎好みの戦国武将の横顔が描かれている。このような小説が1959年(昭和34年)に書かれていることを想起して貰いたい。60年安保へと、風雲急を告げる世相で描かれた物語には感じられない。歴史を見るスコープが、広く、かつ長い。薩摩・大口の田園で純良がこんな人をガキ大将に遊び歩いていたかと想うと、身体がビリビリと熱くなってくる。ジンセイにユーモアは大切だ。


追記
本日は、これから某所に赴いて朝から検査。今回は毎度同じ病院なれどこちらの立ち位置が少し違っている。内容は同じなれど、さて、どうなることか。
先々週から別な病院で受けていた検査の話もしようと想う。とかく日本では世間知らずのカチカチ頭が多くて本当の節約を知らないから面倒だ。人が死ぬようなブラック規定を作っておいて死んでから慌てるようなことがよくある。その任にある人の視野が狭いからだ。面倒だが、仕方が無い。

追記の追記
バンクシーのサザビーズでのシュレッダー事件は久々に快哉を叫びたくなった。現代の義賊みたいなところがある。どうせICPO辺りではその素性は以前から摑んでいるんだろうと想っていたら、今度はそのICPO総裁の身に何かが起きつつあるらしい。ICPOの総裁にあんなお国から人材を選出するとはよほど人材が払底しているのかどうか知らない。北京の売春婦の殆どは市公安の配下にある、かようなお国と知っての登用だったのか。ともあれ頑張れバンクシー。
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