岡田純良帝國小倉日記

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気になる本――追い詰めない方がいいもうひとつの国。
3月12日
気になる本――追い詰めない方がいいもうひとつの国。
 「マフィア国家――メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々」[工藤律子著, 岩波書店]
 メキシコは仕事で3度、遊びで2度、国境を越えたことがある。
 Maquiladoraの工場に行ったのは1990年代半ばに1度、2000年頃に1度。90年代にはそれほど恐怖を感じることはなかったのだが、2度目に国境を越えた時は、国境を越えて直ぐのところで、前日に日本人駐在員が信号待ちの間にホールドアップに遭い、ガラス越しに打ち殺された事件が起きた交差点を通り過ぎた。
 この時、San Diego空港に俺をピックアップに来てくれたNさんは、日本に帰国して、心労が重なって亡くなった。そんな案件には、労災は適用されないわけだが、犯罪的な社会でのカタギの仕事では息を抜ける時間は殆ど無い。それが日本では知られていないわけだ。
 また、別の機会の内の1度は家族で「Club Med」のリゾート(Ixtapa pacific Zihuatanejo)に行った。これも20年近く前のこと。
 その折に、街角で“我が偉大なる女房”が撮影した俺の写真が写真入れに入れてある。パナマ帽を被って通りの向こう側を見ている俺の背後にトタン屋根が付きだした商店がある。そのトタン屋根に黒と白のブチの2匹の犬がいて、カメラに向けて吠えている。ソンブレロにマキシム機関銃を抱えた男が出てきそうな不気味な場所だった。

        メキシコ 1999年(2).jpg

 今やメキシコでは、14歳から22歳の貧困層の女性の誘拐・失踪事件が日常的に起きており、人身売買の対象だけでなく、臓器売買の対象になっていたりするという。事件は99.9%が未解決である。
 日経では星野智幸がこう記している。
 「近年、日本との直行便が毎日2便も飛ぶようになるなど、急速に日本とのビジネスが拡大しているメキシコだが、麻薬カルテルという巨大なリスクがあることも広く知られているだろう。本書は、その問題に被害者の側から迫った力作ルポルタージュである」
 「人身売買や身代金目的の無差別の誘拐により、身内が行方不明になったとして警察や司法に訴えかけても、取り合ってもらえないどころか、騒ぎ立てると命はない、といった匿名の脅迫を受けたりする。関わりを恐れて、犯罪の被害者たちを助けようとする人たちはとても少ない」
 助けようにも社会全体が汚染されているのだから、どうしようもないだろう。実際には、立ち直りに向けて最も問題になる部分は、メキシコが真っ当なシノギがどれだけできる力があるかということになるが、20年前、Maquiladora制度でメキシコ全体の輸出入のほぼ半数が賄われていると聞いたことがある。
 メキシコの生殺与奪権に等しい虎の子のMaquiladora制度をDonald Tramp(1946年-)の米国内製造業回帰のために破壊しようとしている。大統領はメキシコ国境に高い壁を設けているが、こんな調子でメキシコを追い詰めると、戦争に近い紛争が国境で起きる可能性がある。(作家・星野智幸評、日本経済新聞)


追記
成田はマイナス1℃。25℃程の気温差かな。
というわけで就任後のトランプのメキシコへの矛先は随分丸くなって鈍りましたわな。一蓮托生になつていることまで知る人がいないのだから、本来の安全保障では一番やばい人が責任者になったわけね。
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