岡田純良帝國小倉日記

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気になる本――持ちつ持たれつとは言うけれど。
3月4日
気になる本――持ちつ持たれつとは言うけれど。
 「抗生物質と人間 マイクロバイオームの危機」[山本太郎著, 岩波新書]
 きっかけは獄中時代に遡るだろう。俺の直腸近くでずっと慢性的な炎症を起こしてきた悪いヤツは、大腸菌とか緑膿菌等の腸内細菌かブドウ球菌のような球菌によって炎症が引き起こされていた。
 そこで症状が酷かった間は、抗生物質で憎き細菌どもをやっつけて、症状は抑えられてきたものの、ずっと燻された炭のようにチロチロと火種が生きているようだ。獄中時代、水泳で毎朝毎晩身体を痛めつけていたためか、全身が冷え易くなった。
 本書は、俺に慢性炎を引き起こしているヒト常在菌叢(マイクロバイオータ)が抗生物質によって危機に瀕していることについて論じたもので、俺としては複雑な気分ではある。

        「抗生物質と人間」表紙。.jpg

 長崎大学医学部の熱帯医学研究所に所属し、国際連携戦略本部にも所属し、公衆衛生上、危機的な状況にある現場を歩いてきた医者・国際保健医療政策論者による一書。
 長崎大学の諸兄姐には実に見上げた人が多く、ほれぼれするような活動をしているのに、世間的には知られていない。彼らは、ゲンパツ反対派にとって「不都合な真実」も語る。そういう点でメディアから封印されているのかも知れない。
 岩波書店の本書の紹介は以下の通り。
 「増加する生活習慣病、拡大する薬剤耐性菌、その背後には抗生物質の過剰使用がある。抗生物質の服用によって攪乱され失われていくヒト常在菌叢(マイクロバイオータ)、万能の薬はいまや効力を失い、私たちは「ポスト抗生物質時代」に突入しつつある.最新の科学的知見をもとに,その逆説の意味を問う」
 「ポスト抗生物質時代」とは我ら如何にせん。
 本書の対になるのが、実は同じ長崎大学の先達の亀谷了(1909-2002年)だろうか。奇特な寄生虫博士が設立した「目黒寄生虫館」を想い出させる。「目黒寄生虫館」はデートスポットとなっているそうだが、山口左仲(1894-1976年)ら寄生虫博士の資料は鬼気迫る。

        「ハイチいのちとの闘い」表紙。.jpg

 藤田紘一郎(1938年-)も近いが、著者は彼らのような寄生虫ではなく、人と共存してきた細菌の危機について説いている。これまで人類より細菌等の微生物の方が生物学的には繁栄してきたと著者は説く。微生物は生活圏も地球周辺では広大無辺に近く、成層圏の塵から海底の熱水の噴出孔まで、どこを探しても微生物は生息しているという。
 藤田紘一郎は正直な人だ。寄生虫は大切だと常々語っている人が、俺が獄中に暮らしていた時に、上海や北京で、獄中各地の和食屋で出される刺身は喰うなと説いた。
 「食べないことです」
 彼らが海産物だと言って出す刺身類には、鯉、田鰻、雷魚があって、これらには人間の内臓を喰い破って進む有棘顎口虫がいることがある、だから刺身は避けた方が良いと。

        藤田紘一郎。.jpg

 写真入で解説してくれる実態は、首の薄い皮膚の下を這い回る虫や、脳内に喰い込んだ虫がはっきり写っているX線写真などで、たまらなくおっかなかった。
 額の辺りを這い回る有棘顎口虫がいることは、田中小実昌が度々小説に書いている通り。上海から内陸への行軍で湖西省近辺の強行軍中に、赤痢、マラリアに感染した。
 「あなたの場合、ずっと以前から最菌がいたということですよ」
 「体調が悪くなると細菌の活動が活発化するんだからね」
 軍医みたいな医者はそう言う。寄生虫はもとより、常在菌叢のバランスが崩れるから、俺の身体の不調が起きたわけだ。割り切れんなぁ。

追記
昨年暮れに崩した体調。その後は調子は持ち直してきたが、どうも本調子ではなし。体内に炎症の巣を抱え込んだのが完治していないことがひとつと、炎症を抑えるために抗生物質を医者の言うがままに長期間服用したことで、不定愁訴とは言わないが、いつ時、どうも普段の元気が出なくなった。今は、レツセフエール。オホホホホホホ。
本日これから下山。下界は36℃の噂。身がすくむなあ。
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