岡田純良帝國小倉日記

<< 台湾ビーフン。 | main | 難民同士――獄中国境の一期一会。 >>
気になる本――親の世代の音楽評論家。
3月3日
気になる本――親の世代の音楽評論家。
 「中村とうよう 音楽評論家の時代」[田中勝則著, 二見書房]
 中村とうよう(1932−2011年)は京大を卒業し、日本信託銀行のバンカーとして社会人をスタートさせた人物だ。昭和7年。旧制中学へ入学したが、卒業した時には新制高校という年次になる。俺にとっては親の世代で、昭和7年組の教師が中高にはかなりいた。
 昭和ヒトケタ。同世代で長い間、同業として行き来のあった湯川れい子(1936年‐)より上になる。彼女は、昨年「私の履歴書」に登場したが、要人会見等で時効になった昔話が聞けるかと大いに期待したが、切れ味もパンチも今一つ。彼女にはもっと早く書かせるべきだったのだ。

    中村とうようs Collection Flyer.jpg

 自死を選んだ中村とうよう。遺書を「ミュージック・マガジン」の読者向けに残していた。雑誌に掲載された遺書の一部を抜粋する。
 「ぼくは今や79歳の老人。やっぱり老人の生き方の問題って人それぞれで、一般論で語れる部分ばかりじゃないんですね。ムサビ(武蔵野美術大学)にレコードや資料や楽器を渡しても、ムサビにはムサビの問題があり、それがぼくの問題ととうまく整合するケースばかりじゃない。ではそれをどう解決するか。ぼくは自分の生命の問題として解決する道を選ぶことにした。これってわがままですよね」
 ムサビはジャケ中心に展示をしてしまい、中身の音楽についての解説はあまりなかった。老人性の躁鬱症を発症していたという説もあるので、これにかなりガックリきたらしい。
 「でも自分ではっきりと言えますよ。ぼくの人生は楽しかった、ってね。この歳までやれるだけのことはやり尽くしたし、もう思い残すことはありません。最後の夜が雨になってしまったのがちょっと残念だけど、でもあたりにハネ飛ぶ汚物を洗い流してくれるんじゃないかって、思ってます。実はこのマンションを買ったとき、飛び降りるには格好の形をしてると思ったんですよ。という訳なので、読者の皆さん、さようなら」
 この文章から察するに、最期は残念ながら欝状態だったように感じられる。

中村とうよう in 1960s.jpg

 遠い昔のことだそうだが、60年代半ばには三笠会館で視聴会が行われていて、銀行勤務だった中村東洋(これが本名)も視聴会の会場に現れたそうだ。中村だけでなく同じようにメーカーに勤めているカタギの人間も何人か聴きに来ていた。
 そういう話を知ると、60年代も、俺の若かった90年代も同様で、副業は大っぴらにはできなかったことを想い出す。中村東洋は原理主義的だったから、銀行を辞め、雑誌を立ち上げ、一貫して音楽業界に関わり続けたが、それも独身を貫き通してできたことだ。
 最近、「働き方改革」で「副業」は俄かに脚光を浴びている。悪い傾向ではない。「副業」も、パートやアルバイト、内職、業務委託等、様々な形態があるだろう。さしずめ俺などは、請負ということでかつかつやってきた口になるか。音楽について書き始めて長い時間が経った。「本業」だったら続かなかった。俺には家族があったために苦しい時期でも乗り越えることができた。有難いことだ。(作家・翻訳家・明治大教授・旦敬介評、讀賣新聞)

追記
昨日は大変な1日だった。朝から除隊に関わる説明を受けてその直後に欧州某所から来たロビイストと打ち合わせに。すぐ後に迫っている法律改正の対策会議になる。途中で会議から抜け、某霞が関の役人と中東関連の鳩首会議。全てに少しずつ違う政治力学が絡んでいる。
そして鶴見が揺れた沿線火事。成田までの移動が一瞬絶望的になったが、気を取り直して京急便で急いだ。ネットからチェックインして最後はカウンターまで全速で走った。気がつくとブレエコに3人並んでおりました。さて、これから活動開始。雨の某国の首都は雄鶏の雄叫びと男たちの叫び合う声で始まった。明日はどっちだ。
| 9本・記録集 | 08:14 | comments(0) | trackbacks(0)
スポンサーサイト
| - | 08:14 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://punkhermit.jugem.cc/trackback/6663
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< June 2018 >>
SPONSORED LINKS
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
モバイル
qrcode
LINKS
PROFILE