岡田純良帝國小倉日記

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気になる本――21世紀の極東情勢(上)。
2月14日
気になる本――21世紀の極東情勢(上)。
 「幕府海軍の興亡」[金澤裕之著, 慶応義塾出版会]
 先日、皇族方も愉しみに観ているという話のある「美の壷」で「湘南の邸宅」を観ていたら、現在は「小田原文学館」になっている田中光顕(1843-1939年)が95歳にして建てた最晩年の家が出てきた。土佐藩で武市半平太(1829-1865年)一派に加わり、その後、長州征伐で長州軍に加わり幕府軍とは闘った。京都の倒幕志士グループ、陸援隊のNO.2である。
 「田中にとって、帆船に乗って海を進んで行くというのは、若き日の青春の思い出なんですね。あの有名な坂本竜馬たちとともに船を乗り回し幕府を倒すべく活動していた。その思い出に他ならないと。これは、若い青春の坂本竜馬とのオマージュの建物なんだと」
 田中のオマージュと説かれるが、海援隊の坂本龍馬(1836-67年)とお仲間とは片腹痛い。
 田中光顕は坂本龍馬を暗殺した犯人ではないかと疑われている。武市半平太指揮下で、吉田東洋(1816-62年)の暗殺グループに加わっていたとも言われる。

       「維新風雲回顧録」[田中光顕著]表紙。.jpg

 そうして、維新後、無名だった坂本龍馬を殺したかも知れない田中が坂本を有名にした。暗殺後37年、日露戦争への不安に揺れる社会で、内大臣(宮内大臣)となった田中光顕は美談を捏造したと言われる。昭憲皇太后(1849-1914年)の夢枕に白無垢姿の男が立って、我が日本海軍は敵艦隊を必ず撃破すると預言する――「葉山の御夢」と呼ばれた話だ。
 「臣は維新前国事の為に身を致したる坂本龍馬と申す者事、当時より熱心に心掛たる所に候へば、今回、露国との戦端、いよいよ開けん暁には、身は亡き数に入り候へども、魂魄は御国の海軍に宿り、忠勇義烈なる我が軍人を保護仕らん覚悟にて候」
 自分は維新の回天を見届けることはできなかったが、日本海軍を守り続ける覚悟である。白無垢の男、「坂本龍馬」と土佐の愛国精神はここから全国的に有名になった。
 残念だが1世紀近い生涯に、ありもしない話が幾つも転がっている――田中はそういう噂の絶えない人物でもあった。

田中光顕の宮内大臣親任状.jpg
 田中は日本中の志士の遺品を集めたと言われるのだが、そうすれば、どんな風にも
 幕末維新の物語を編むことも出来るだろう。そうして、実際に捏造したと考えると、
 中々太いタマだ。功成り名を遂げて95歳まで生きるなら、考えることは皆同じこと。

 だから、坂本龍馬と海援隊(土佐)を売り込み、何時の間にか中枢にいたかのような印象を作り上げ、日本海海戦と重なる家を建てるなど、朝飯前にやっただろう。
 しかし、こと日本海軍創設に関しては、根幹には勝海舟(1823-1899年)の長崎海軍伝習所から軍艦操練所があるのは明々白々。維新の史実でさえも、まだまだ偏向しているのは、かような人物が暗躍して様々な物語を捏造したということがある。
 勝海舟は、これまでのように諸藩に資金拠出を命じて徳川の海軍だけを強化するのでは公武合体の世論に合わないとして、地方からの人材登用・育成論を主張した。
 「本書は、幕府が近代海軍という未知の軍事力をゼロから作り上げていった過程を丹念に明らかにした労作である」
 「幕府海軍の遺産は新政府に継承され、帝国海軍の基礎となった。短期間で一流の海軍を作り上げた日本の経験は、世界史的に見ても大変興味深いものと言えよう」 
 評者に諸手を挙げて賛成。(政治史学者・京都大教授・奈良岡聰智評、讀賣新聞)


追記
うーーーーーーーーーーーん、田中。これをどう受け取るんじゃろうかねえ。国民栄誉賞で浮かれとってええですな?

ワシは田中は大嫌いじゃい。


ということで、もう寝るわい。ぬーん。
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