岡田純良帝國小倉日記

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イギリス人の「高慢と偏見」(中)。
9月10 日
イギリス人の「高慢と偏見」(中)。
 Jane Austen(1775-1817年)の「Pride and Prejudice(高慢と偏見)」は、イギリスの文学史上でも傑作の1つとされている。社会批評でもなく、18世紀末の英国のイングランド中流社会の女性の暮らしを描いた物語だ。
 その著作は決して公にされることを目途に書かれたものではないようだが、主人公は、大抵、著者本人を思わせるような知的な女性だが、「結婚」問題がその主軸に据えられている。イギリスは中流家庭でも、長男以外、嫁ぎ先が無い女性は実家に居候をするしかない時代だったから、結婚は切実な問題でもあった。
 ドタバタ喜劇のようなところもある。主演は男女が入れ替わるが、昭和40年代の石立鉄男主演のユニオン映画製作のテレビ・ドラマに似ている。主人公同士は惹かれ合っていても、横槍が入って、相手を誤解し、偏見で相手を見てしまい、右往左往するわけだ。
 心理描写も面白いが、料理は殆ど出てこない。この作家の有名な言葉を引く。
 「君の心の庭に忍耐を植えよ、その草は苦くともその実は甘い」
 生涯、結婚をしなかった彼女は、作品中では、結末をハッピーエンドにさせた。晩年まで家族と賑やかに楽しく過ごしたと言われるが、「味覚」はどうだったのだろう。

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 イギリス人の娯楽は、スポーツ観戦、賭け事、そしてパブでのウダウダしたダベり。海峡を潜って島に戻ってくると、街に楽しみが少ないと感じられる。色気が無い。「喰う、寝る、遊ぶ」、という3点なら、決定的に「喰う」が欠けているだけでない。
 ダベりと言っても、冬でも屋外でパイントグラス(568ml)を持ったまま立ちっ放しの「ラウンド」。3人なら1人ずつ相手分を奢って3杯で済む。だが、5人、8人となったら、コイツはキツイ。それでも、彼らは耐え忍ぶのだ。それがイギリス人の流儀だからだ。
 スポーツなら、庶民のサッカーと中流以上のクリケットのように、階層別に分かれて提供されているが、階層問わず、楽しみが少ない。猟やボートなどは少数の人のためのものだから、これは国民性を語るには乖離があり過ぎる。
 提供された娯楽の枠内でジッと我慢しているように感じられる。だからサッカー場で爆発するしかない。それが分かってしまうとこの土地にいることが急に息苦しくなった。イギリスの建物は、建て付けが悪く、窓枠もコーキングもきっちりと仕上げていない。これも努力の放棄であることは明らかだ。こういうことが一つひとつ気になり始めるとあれもこれも根は同じことだと鼻につくようになった。
 英国王室ブランドの見せ方と売り方もそうだ。20世紀初めに一般市民用に「大英帝国勲章」が「発明」された。王室への貢献度合いによって各地に勲章を与え、巧みに連邦国家諸国の貴顕紳士も惹き付けるようになった。日本で財界人が二等を授与されたりすると、英国大使館が巧みに祝賀会を開いたりする。

Le Magazine du Monde (3).JPG

 Glam Rockでは対照的な話がある。Bryan Ferry(1945年-)とDavid Bowie(1947-2016年)は対照的だ。Bryan Ferryは2011年に三等を受賞した。David Bowieは2000年に大英帝国勲章二等、2003年には騎士号をそれぞれ辞退した。
 Bryan Ferryは狩猟が趣味。息子たちとアフリカに猟をしに行くことを楽しみにしてきた。英国内では狐狩りは残酷と批判され続け、貴族に由来するスポーツでもあり、政争の永年のテーマの1つだ。彼は狐狩りをサポートする立場を取って、イギリスの伝統的なカルチャー保護に一役買ってきた。出自はどうあれイギリスに居場所があるのだ。
 David Bowieはスポーツにも狩猟にも居場所を見つけることはできなかったから、現代美術にのめり込み、長くNew Yorkで暮らした。英王室に対する態度の違いはこの辺りにその源泉を辿ることができる。
 
追記
昨晩は予定通り大激論になった。疲れ果てていたものの現実を知ってもらわなければならない。まぁ、これからのこのお国の進む方向を考えるとパンクの出現直前のロンドンをイメージすれば理解できる。為替はどうなるだろう。聞くと国際通貨みたいな積もりでいるのだからオメデタイ。大陸から見れば地獄に落ちろだろう。どうしても島国は自画自賛に陥りやすい。他山の石として気を付けなければならないことだ。
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