岡田純良帝國小倉日記

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バンドとステージの距離。
9月1日
バンドとステージの距離。
 このシャシンをよく観て貰うと距離感が分かる。
 手前側は、Sex Pistolsが1976年の5月頃から定期的に出演して急激に人気を集めるきっかけになった「100 CLUB」だ。そして、通りの向こう側の建物に靴屋の「Clarks」が店を出しているのが分かるだろうか。
 この向かい合わせの建物の間を通る通りがOxford Streetで、日本で言う新宿の靖国通りか銀座通りみたいなもの。だが、歩道部分は広く、車道は狭い。こいつは世界的に繁華な大通りが辿っている近頃の傾向ですな。
 それで、反対部分の「Clarks」の入っている空間は、40年前にはただのがらんどうで、人の出入りするいわばゲートだった。この縦型に細長くなっているアーチを抜けると、奥にある小さな広場に通じていた。
 そこに今は取り壊されてしまった古い複合商業ビル、Dryden Chambersがあって、Sex Pistolsのマネジメントの「Glitterbest」の事務所があった。77年春以降にはPunk Bandのマネジメントが事務所を借り始め、他の「Snigffin' Glue」や何やかやの連中が小さなスペースを借りた。魑魅魍魎の集まる梁山泊に向う地獄の釜のフタだったわけか。

20170805 Denmark Street to 100 Club (7).JPG

 Sex Pistolsの練習場所兼アジトはこのシャシンを撮った場所から徒歩で7分ほどのDenmark Streetにあったから、一時ここを棲家にしていたSteve JonesとGlen Matlockの2人は、「100 CLUB」まではギター・ケースをぶら下げて歩いたはずだ。バスに乗るほどの距離ではない。
 そして下に上げたシャシンの撮られた場所が、その、今や、「Clarks」の店舗になってしまったゲートの通路だったそうだ。
 
Sex Pistols at Oxford Street in 1977 (2).jpg

 Ron WattsがMalcolm McLarenに持ち込んで、2人は「Glitterbest」を構える前から「100 CLUB」に売り込んでいたのだが、このたった数十メートルの距離感に、何かしら、70年代のRock 'n' Rollの息吹だとか、熱気だとかいったものが感じられる。
 Oxford Streetの路傍でカッコつけていたって、今なら何だか調子が出ないように想う。だが、当時のイギリスは荒れに荒れていたわけで、トイメンの「100 CLUB」はみるみる間にパンクの聖地みたいになったわけだ。
 直ぐに怪我人が出たりしてトラブル続きになったからパンク・バンドは締め出される結果になった。何しろここは元々ジャズ・バンドで有名な演奏会場だった。
 Sid Viciousの加わったシャシンが撮られたのは1977年。その19年後の1996年春に、バンドの再結成記者会見が「100 CLUB」で開かれたニュアンス、あるいは理由みたいなものがこれで分かる。

Sex Pistols at 100 Club in 1976 (2).jpg

 解散後、Malcolm McLarenと訣別した彼らには、事務所があったわけでもなし、Denmark Streetのアジトは、最早、人の手に渡っていたから、彼らの思い出の場所、記念すべき場所として、「100 CLUB」が選ばれたのだろう。
 バンドと彼らを世間に出したステージ。19年後、そのステージは、再結成を宣言する会見の「ステージ」になったというわけだ。
 こちらで暮らしてみて実感したことは、初期のパンクの仲間の少なさで、ステージの狭さだ。皆が互いに顔見知りで、その仇花を競い合ったことだ。世間で少数派の連中が集まって始めたことが、どれほど世界に向けて大きく破裂して広まったことか。
 日本で彼らの発信するメッセージを感じた時の震えは、生涯忘れることはないだろう。彼ら以外の誰も彼もが愚かに見えて、古臭く感じられた。
 そして、多分、当事者も混乱していた。過去を振り返り、自分をコントロールできるようになるまでに19年かかったということなのだろう。
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