岡田純良帝國小倉日記

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編集者が一番――文藝春秋ものがたり。
6月19日
編集者が一番――文藝春秋ものがたり。
「近代政治家評伝」[阿部眞之助著, 文藝学藝ライブラリー]
「昭和怪物伝」[大宅壮一著, 角川文庫]
「文藝春秋ものがたり」[非売品]
 平成10年(1998年)、文藝春秋社が創立75周年を迎えた。この時、非売品だが書店を中心に配布したのが「文藝春秋ものがたり」。コイツが引越しで出てきて読み直した。
 小冊子には、本誌から掲載が落ちてしまった座談会、「歴代編集長大いに語る」というまことに貴重な読みものがある。
 田中健五(昭和47〜52年)、安藤滿(昭和54〜57年)、岡崎満義(昭和57〜59年)、堤尭(昭和59〜63年)、白石勝(昭和63〜平成3年)の歴代編集長が5名で、当時の編集長の平尾隆弘がこの座談の進行司会を務めた。

      「文藝春秋ものがたり」 (1).JPG

 この中で、田中健五と安藤滿の間が飛んでいるが、ここに半藤一利が入る。田中健五とは同期入社で、半藤は田中からバトンを受けて編集長を務めたことになる。
 田中健五は池島信平編集長時代の「天皇陛下大いに笑ふ」(昭和24年6月号)を紹介した。辰野隆、徳川夢聲、サトウ・ハチローの3人が昭和天皇に拝謁した。その後で鼎談で天皇の素顔を語り合い、これが読者に受けて、文藝春秋の読者賞を受賞した。

     血のメーデー(1).jpg

 「当時は左翼全盛でね、天皇に関心をもつというのは必ずしもマスコミの主流じゃなかったんです。東京裁判のあと、ソ連の強硬な追及もあって外電は天皇退位を流していたし、論壇では天皇の戦争責任がしきりに叫ばれていた」
 「新聞やテレビがマスコミだとしたら、それと少し距離をおいたところにマガジンの存在理由があるんですね」 
 「『文藝春秋』風呂敷論。カバンだと仕切りが合って、決まった容量しか入らない。風呂敷って形がないからね、何でもつつめる」
 「ソニーの盛田昭夫さんだって、筆者としては新鮮でしたよ。『学歴無用論』から始まって『アメリカよ猛省せよ』まで。時時の重要な、かつ意外な発言の舞台は『文藝春秋』ですよ。経営者の実学に裏打ちされた発言にも、頁を割いてきた」
 安藤滿は、さだまさしの「30歳以上の方の為のコンサート」というタイトルで、3時間という長丁場のコンサートのさだまさしの発言を全文掲載(昭和54年11月号)した。
 「何が入ってもおかしくない。政治家の堅い論文が入ってもいいし、おしめの改良記事が入ってもいい」
 「しかし立花さんの原稿(『田中角栄研究』(昭和49年11月号))を最初に読んだときは興奮したな。文字通りに面白いんです。もちろん結果的に角さんは権力の座を失ったわけだけど、僕らは最初から“権力を撃つ”といった発想はなかった。ですから『好奇心でやった仕事である』と言ってたんです」

「文藝春秋ものがたり」 (2).JPG

 「で、僕はおためごかしじゃないけど、当時のインフレを何とかして収拾しなきゃいけないんだから、(辞職した田中角栄に)国家非常事態宣言ということで『文藝春秋』に出て下さいって頼んだんです。そこで、先月号の文春に載った記事に対して、自分にはこういう言い分があるんだと入れたらいいじゃないですかと」
 結果的に、田中角栄陣営からの反論は幻となって消えてしまう。もし反対論文が同じ雑誌に載ったのなら、言論の最高度の自由。痛快な話になったのだが、これも、内閣記者会か何かの差し金で実現しなかった。
 こうして読んでくると、,慮紊豊△入り、そこで大宅壮一が阿部眞之助を書いてもちっともおかしくないということがこの座談でよく分かる。

血のメーデー(2).jpg

 この冊子は月刊誌と体裁は同じで、表紙を入れず中身だけで16ページの薄っぺら。San Franciscoで受け取り、川崎に戻り、その後、反日デモで揺れる北京を経由し、上海や香港、台北を旅して、今も処分できず、この度はLondonにまで持参した。
 それも理由がある。文藝春秋社は、98年10月、San Franciscoの自宅まである別の冊子を送るためにこの小冊子も国際郵便に同封して送ってくれたからだ。
 「日本をはなれてのお仕事は、本来のお仕事の外にもお気遣等の多いことと存じます。何よりもご健康で、お仕事はもちろん、実り多い日々をすごされますこと、祈念いたしております」
 封書に担当のKさんの自筆の手紙も添えられていた。文末に神無月1日とある。
 それをSan Franciscoで受け取った証に、10月6日付けのメールのやりとりがハンドアウトされて冊子に挟み込んである。よほど嬉しかったのだろう。
 20年近く前になったが、今では遠い夢のような気がする。


追記
フランスD-Day系のNormandy / Bretagneについて調査検討開始。さらにはToscanaでの追悼の旅について検討開始。
夏は忙しくなりそうだ。まぁ、人生最大3コーナーの追い込みだからショウガナイところ。

仕込みの旅ですな。


これとは全く関係ないんだけれど、BluetoothのSpeaker Systemについても検討中。コードレスな暮らしを指向開始。
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