岡田純良帝國小倉日記

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気になる本――Marseille、Corsica、Sardinia、Napoli、Sicily、Tunisia。
4月15日
気になる本――Marseille、Corsica、Sardinia、Napoli、Sicily、Tunisia。
「シチリア・マフィアの世界」[藤澤房俊著, 講談社学術文庫]
「死都ゴモラ」[Roberto Saviano著・大久保房男訳, 河出文庫]
 この2冊から読み取れるのは、壮大な海のルートだ。
 日本近海は台湾諸島、台湾本島、福州、石垣、沖縄本島、奄美、坊津のような正史に現れない海の民の歴史である。あるいは長崎、五島列島、済州島、釜山、対馬、隠岐、境港ルートでもいい。陸図で見えない交易があったということだ。
 再三書いているように大正末期の旧制中学生向けの日本地図は台湾本島や朝鮮半島が、北海道よりも先に掲載されている。しかも地図の色分けは日本列島と同じだ。そしてそこに詳細な海路が掲載されていた。
 この地図を見慣れて育った人と今の我々とでは発想が違ってくる。海の民は陸の民と発想が違う。領土争いより利権の争いであり、交易権益の確保・拡大が大きな眼目にあった。
 これを海洋国家と呼ぶ人もある。交易が中心なのだから、定住して国家を打ち立てるということに長けた大国が生まれると順々に消えていった。もしくは、薩摩・島津家が坊津の海商たちを黙認したように、国の財政を支えるスポンサーとして編入した。
 坊津を例に取れば、彼らは長崎の五島列島や沖縄諸島を中継基地に、福州・釜山から遠く東南アジアまで、インディカ米、ビロード、薬、書画骨董等を輸入する一方で、緑茶・フカヒレ・ナマコ・醤油等の食品、樟脳・陶磁器等を輸出したとされる。
 かくいう我が一族も東市来の海から陸に上がってきたという説もある。だから、今で言う陸図や海図に引いた国境線と違って、陸図だけでは読み取れない、目に見えない線を越える越境者が今もいるということでもある。

     琉球貿易ルート別(16世紀).jpg

 なぜか。なぜ沖縄の牧志公設市場に台湾産品が溢れているか。台湾本島に沖縄の物産があれほど多く流れ込んでいるか。石垣の先の最南端・与那国から台湾東部・蘇墺間は約150km。庶民にとって、互いに行き来しない理由がどこにあるのだろう。
 米軍放出品を闇物資と呼ぶかどうか別として公認の交易ルートと違う商売のルートがあるからで、人と人との呼吸はどうしたって取り締まり切れるものではない。だから出会った2人が互いに惹かれあうことも、止められるものでもなかろう。
 つまり、これを地中海大に展開してみればどうだ。
 France領ならMarseille、Corsica島になる。その先はItary領のSardinia島、Napoli、そしてSicily島。そしてその先は、SicilyのMarsara からTunisiaのTunisはもう160kmほど。Key WestとHavana間が160kmとほぼ等距離。
 経験則的に見て、大抵このくらいの距離なら、世界中、間に海があっても長い交易の歴史があるものだ。
 済州島と五島列島で180km。釜山と対馬で50km。無理な線引きで2つの国の間で事を荒立てるよりも、両国が互いに経済特区に認めてしまえば理想的だ。人の自然な行動の発露の結果で、行き来は取り締り様が無い。窃盗行為は別の話だが。
 近頃はヤクザだのギャングだのの話が続いているが、人の暮らしの中で取り締まりが本質的に困難な、仲介・口利き・斡旋といった社会の利害相反者間の調停行為を生業にしている者は昔からいる。これを取り締まることは本然に反すると言いたいわけだ。
 同じように海上を船で人が往来すれば、互いの出身の夫婦が生まれ、家族間の交流ができ、その利便性を追及していけば、物品の交易は避け難い――そういう意味で海の道の人の行き来は取り締まり難い。それを闇と呼ぶかどうかは別として。

  Trade Zone.of Mafiosojpg

 暴力団・ヤクザで触れた江戸期の「二足の草鞋」の件で言うなら、明治維新の後でさえ、歴史に「二足の草鞋」が登場する。海道一の大親分、博徒・清水次郎長。官軍に殺され、哀れに清水港に浮かんでいた旧幕臣の二十数体の遺体を手下に命じて丁寧に埋葬した。
 徳川の大目付に抜擢された山岡鐵太郎(鐵舟)は、「朝敵」を埋葬した次郎長を呼び出し、形式的に「取り調べた」が、人柄に魅了され、混乱の続く駿府藩の「市中取締」を命じた。任命した鐵舟も任命された次郎長も各々星回りと領分をよく弁えていたということだ。
 この2冊で描かれる人たちはこのヤニコイ調停業と交易をセットにした人たちのことだとも言える。無論、このネットワークに、誘拐された少年、麻薬、重火器・拳銃といった、未来永劫「悪」なるブツを乗せると、問題の本質は違ってくるわけだが。
 だが売買春や賭博等はいいではないか。取り締る者があっても止まないのは、人間の本然だからだ。俺に言わせれば口入業や闇交易と同じ伝。スイスやオランダの公娼は東欧や黒海周辺の国々からの出稼ぎ。日本人には「じゃぱゆきさん」で何時か来た道。
 しかしこういう大人の議論に乗らない人たちが未来永劫消えないこともまた真実。


追記
今日は俺の愛する某さんに勧められた某所に行った。旨かったねえ。さすがに四半世紀も在住している人は違うね。参ったワイ。これは追って取り上げるべい。本文と写真とは関係ありませんですが旨かった。オホホホホホホ。

Seafood Platter 20161218.jpg

明日はどうするかいねえ。明後日はまたまた雨だっていうし、生憎の連休の雨だわ。まあ、雨なら雨で仕方が無いわけだけれど、ナニをするかねえ。本でも読んで冒険の下調べでもするかなあ。
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