岡田純良帝國小倉日記

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ローマ宣言の後で(上)。
倫敦日記’17(第十四弾)
4月13日
ローマ宣言の後で(上)。
 3月25日閉幕したEU首脳会談は、EUの理念を体言する源流とも言える1957年のローマ条約60周年を記念してローマで行われた。第2次大戦終結から十余年。大陸では近世の歴史の繰り返しで、親戚・姻戚同士の血で血を洗う戦いの後で各国社会は疲れ切っていた。
 ローマ条約はベルギー、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、西ドイツの6カ国によって調印されたもので、基本、この6カ国が枢軸国であると考えて良い。この時点で南欧スペイン・ポルトガル、北欧3カ国、島国のイギリス、アイルランド等の国々はまだ参加していない。
 経済共同体を目指すものだが、ローマ条約の本質は石炭・鉄鋼石の利害関係国による国際カルテルという側面があったことを忘れてはいけない。これは中欧の鉄鋼王たちが、現在の中東のOPECのように生産量・価格・投資額といった点の排他的な取り決めを行うための条約という本質的な側面をも持っていた。
 細かい話は抜きにして、これまで、28カ国まで拡大したEUの理想の源流となった国際会議の成果であったから、本来なら60周年のイベントとしてEU首脳、主要各国首脳は晴れ晴れした気持ちで臨む式典になるはずだった。
 そしてこの理想を確認して、麗しのローマ宣言の署名と宣誓とで終わるはずだった。それがイギリスを除く27カ国首脳だけが集まる初めての首脳会談となり、イギリスは、ローマ宣言が出た25日土曜日の翌週の29日には、EUから正式に離脱宣言を表明した。
 イギリスにとってもEUにとっても長期的にこの式典が結果的にも終わりの始まりの象徴的なイベントになる可能性が大いにある。
 「もう、EUも結束力を保てないんじゃないの」
 日本の経営者が語ったと報じられた。これは問題意識としては正しいけれど立場ある外部の者としての発言としてはかなり軽率なものだ。
 Putinが笑う。そこまで見切っての発言とは想えないからだ。
 イギリスはEUのローマ宣言の宣誓を待ってリスボン条項50条を発動したのだから、国内の騒ぎはよそに英仏海峡を挟んでいよいよ泥沼の2年間が始まる。泥沼というのか、傷付け合う2年になる。双方が双方を非難する離婚裁判になる。
 イギリス内は、イギリス人もまだよくわかってないんじゃないかという感じもあるし、もうこの議論はたくさんだからとっとと離脱を進めようという二極に分化している感じもある。大きなことが進む時は社会は二極分化すると歴史とを絵に描いたような状況だ。
 日本で言えば日清戦争後にさらに激しさを増した自由民権運動か。密かに社会主義の勢力が入り込んできたことに危機感を抱いた山縣有朋ら体制側と、当時は閣外にあって自由民権運動をさらに発展させようとしていた自由主義者との緊張関係のようでもある。
 この時山縣有朋は左翼勢力の一掃を図って「治安警察法」を成立させた。これが後年の翼賛体制と日本的なファシズムの源流になったと阿部眞之助が書いている。
 今進むこのイギリスとEUの綱引きの一方で――日本に帰国して驚いたことがあった。

The Guardian 20170324 (1).JPG

 暴力団・山口組幹部の出所に絡んで虚偽の診断書を作成した嫌疑での逮捕・取調べが続いている一件だ。京都府立医大の医者が暴力団幹部の虚偽診断書を作成したという。病院長はこれを否定しているが、報道は「虚偽の診断書を作成した」と言い続けている。
 本人が否定しているのにこの一方的な報道は、メディアによる人権蹂躙のように思う。共謀罪で騒ぐ一方での犯罪報道。犯罪報道被害ではないか。共謀罪の反対運動と裏腹で相変わらず続いている。恥ずかしくないか。メデイアの取材力、構想力はそんなもんか。
 さらに安部政権を揺るがしている森友問題では外地にいる人間には殆ど理解が不能なほど報道が二転三転している。決定的な証言で終わりかと想うと、また新たに別証言が出てきて、誰が嘘をついているのか、誰が隠しているのか、さっぱり分からない。
 かてて加えて国会で続く与野党の答弁の揚げ足取りをする記事が散見されて見苦しい。国会は1日4〜5億円の経費がかかるというのに総理大臣の鼎の軽重を問うほどの問題なのか。バカバカしい。

<朝日新聞記事から>
 「籠池氏の妻が昭恵氏に送ったメールには、辻元氏を名指しして「幼稚園に侵入」などの記述がある。辻元氏側は「入っていないし、入ろうとした事実もない」などと全面的に否定した。
 首相はこのメールを同日の参院決算委員会で取り上げ、産経新聞に『疑惑』と出ていた。辻元さんも証明しなければならないことになる」と主張。証人喚問での籠池氏の証言と同列に扱い、民進が求める昭恵氏の証人喚問をかわす材料に使っていた」

 その問題の辻元清美議員は国会の委員会を無断で欠席して、籠池問題の視察に行って「幼稚園に侵入」したわけだから、誰が悪いかって、皆んな各々子供のように悪いだろう。その子供のような無邪気な小悪を1日数億円の国会の会期を無駄に潰している。○○は死ななきゃ治らないという感じがある。

<朝日新聞編集から>
 「『共謀罪』法案が今国会の焦点の一つになります。「共謀罪」法案を「点」としてではなく、最近できたいろいろな法制や、裁判所、検察のあり方と合わせて「立体的に」考えると、見えてくるものがあります」

 うーんそうか、「立体的に考えろ」ときたぜ。
 国会論戦のレベルはどこの国でも似たり寄ったりではある。日本の場合は、こういう空論が「長過ぎる」。1日5億の金が飛ぶのに100万円の話をしている。問題は金の多寡でないにせよ、要するに、大人なら程度問題で理解できる話だろう。気が済むまで議場の外で乱闘すればいいだろう。
 現代の日本は逮捕率が世界一高い。無実で逮捕された人々が密室での長時間取調べで自白調書にサインさせられてしまうということが国会の空転と裏腹で起き続けてしまう――つまり冤罪が多いわけだ。冤罪ですぜ、冤罪。
 俺も風評被害組の1人だから分かる。無責任な風評を流し、高みから見物をする者の人間性は救い難いが、日本人には風評に流される。つまり、風評に流される空気がある。その時、空気を読めなくとも正論を明言することは愚かという風潮もまた根強い。
 そういう時に、「元々アンタは他人だった」みたいに冷酷に手の平を返す態度は、残念だけど、日本人だけでなく、イギリス人にもまた感じられるところでもある。
 本稿、明日もダラダラ続く。


追記
財務省が勝手に忖度して進めた話で、はめる積もりは無かったらしいとか、お節介な役所がたたらを踏んでしまったというのが原因だとか、まぁ、さらに奇奇怪怪な話だけど、どうも、あんまり官邸は問題無いという話だなあ。もしそうなら、スクープしたことになっているA新聞、またやっちゃったのかね。
暫く止めたり始めたりちょっとあると想うけど、ま、あんまり気にせんでつかぁさい。色々言ってくる人があって、面倒臭い、そういう時もありまうわな。
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