岡田純良帝國小倉日記

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気になる本――ドラッグは自己管理できるか。
3月16日
気になる本――ドラッグは自己管理できるか。
 「ドラッグと分断社会アメリカ(High Price)」[Dr.Carl Hart著・寺町朋子訳、早川書房]
 こちらは日本風に言えばCarl Hart博士(http://drcarlhart.com/)の更正の物語である。
 書評には「著者は66年米フロリダ州マイアミ生まれ。コロンビア大心理学科長。専門は神経精神薬理学」とある。もっと有体に言えば、Miami, Floridaのストリート・ギャング出身の黒人初のColumbia Universityの心理学博士号取得者だ。
 「実際の中身は彼の回顧録である。著者はマイアミの貧しい黒人居住区の出身だ。万引きそのほか数々の軽犯罪のほか、麻薬の売人をやっていたこともある」

Carl Hart smoking Dope.jpg

 「面白半分に銃を通行人に向けるような人間だった彼を、他の仲間たちと違う道へと誘ったものは『クール』であろうという強い自己意識だった。あとは団体スポーツへ打ちこむことで練習を積み重ねることの重要性を理解していたこと、祖母が学業を重視していたこと、そして空軍への入隊だ」
 著者は高校ではバスケット・ボールの有力な選手だった。というよりも、俺にとっては無名時代のRun-D.M.C.と組んでいた方が面白い。様々な可能性を秘めていたわけだ。
 アメリカは多様性を受け容れる。思想的には著者と真逆になるが、別の男も思い出す。両親がCuba移民で、身内にCuban Syndicateのギャングを持ち、本人もストリート・ギャング崩れの現共和党上院議員のMarco Rubio(1971年-)。1年前は共和党で大統領の座に最も近いと見られていた男だ。彼も何度か逮捕されたことがあると言われているが、今は家族愛の復権と銃規制反対、中国への強硬姿勢を掲げている。
 タイトルは分断社会とあるが、アメリカの良いところは、変わる人間を認めることで、変わろうとする人の努力を嗤わず、自分を乗り越えようとする人を称えることだろう。アメリカの美徳の最たる部分だろう。レッテルを貼ったらそれで終わりというのが世の常識だが、アメリカは過去は過去として今のその人物の心情と行動と言葉で評価する。他の国にはあまり見られないことだ。
 昔はヤクの売人でもあったが、今はColumbiaの教授である著者の主張はこうだ。
 「必ずしも薬物摂取がそのまま依存に繋がるわけではないことを示している」
 だが、評者もこう記す。

           Carl Hart at Air Force.jpg

 「著者は自らの経験をもとに薬物撲滅は非現実的であるとし、非犯罪化を提唱している。合法化とは違うのだが、やはり、そうはいかないだろうと思わざるを得ない」
 この辺りの社会の許容の度合いがアメリカは深い。日本はどんどん狭くなっていく一方。人が育たなくなってしまう。そうでなくとも減る一方の若い人の可能性を摘んでしまう。それが俺はとても気になっている。
 書評でも気になる部分が、犯罪歴のある人間が博士号を取って大学教授にまでなったと何度も書いてあることだ。そのくらいの教授はナンボでもおります。弁護士だっている。医者もおります。
 「誰もが乗り越えられるような低い壁ではない。だが著者は実際に抜け出して大学教授にまでなった」
 NHKを辞めてフリーランスになった評者はこう書く。

         Run D.M.C.

 日本では、メディアで発言する人の視界が狭いことが多いことも、日本社会の息苦しさ、生き難さを加速させているのかな。世の中を知らないで思い込みで取材をする人が多い。取材をしている現場のナマの言葉に、本心からは耳を傾けていない人たちが多いのよ。予めストーリーを決めて、自分のストーリーに合う部分だけを切り出す人がとりわけTV局には多いことを俺は知っている。
 そんな番組を見て身を竦め、身の丈を縮めてしまう若い人がいるのが残念でならない。俺なんか何度挫折したことか。十代で事故死したのは何人かいる。収監されたのもいる。
 「拳銃は近くから撃たないとタマは当たらない」
 そう言いながら酒席で俺の腕を取って教えてくれた人もいた。そういう世界から出てもカタギで生きていける。評者の言う壁を乗り越えてきた人はとても多い。
 本書は、更正物語ではなく、彼が薬物はアルコールと同じように人間の社会生活と共に共存可能だと主張しているところを買うべきだ。著者は社会の先入観と闘っているわけ。セックスや自動車の運転と同じようにドラッグも若い世代に扱い方を教えてやるべきと言っている。それほどドラッグは手近にあるわけだから。
 日本は、犯罪報道で一生を棒に振った人がどれほど多いことか。メディアにいる側は、元売人として見るのではなく、今のその人間の主張に、もっともっと光を当てて欲しい。そうでなければ彼は悲しむだろう。(サイエンスライター・森山和道評、日本経済新聞)


追記
NHK記者がまた強姦事件でっせ。何だかねえと思う訳。組織自体が弛緩してんじゃねえのかなあ。どうしたって邪推をしてしまうわねえ。そんな組織のために受信料支払いたくないと感じる人が増えているのもよく分かるよね。
俺は番組がイヤんだよね。NHK全体にトーンが暗いから鬱になってしまいそうだもの。しかも暗いか気が違ったように弾けてはしゃぐかどちらかしか無い。子供みたい。
その点、自己管理という面では下記の方は20世紀の芸人の中でも徹底的に自己管理をした人だと想いますね。誰だか分かるかな?

Chuck Berry (2)
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