岡田純良帝國小倉日記

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気になる本――丸山三兄弟のこと。
2月25日
気になる本――丸山三兄弟のこと。
「娯楽番組を創った男」[尾原宏之著, 白水社]
 当選後、就任前のDonald Trumpに会いに行った安倍晋三首相。2月半ばに2泊3日も大統領の別荘で過ごし、27ホールのゴルフ・コースを回った。日米両トップがゴルフや食事を共にしている2月12日、北朝鮮がミサイルを日本海の公海に向けて発射した。各国は一斉にこの行為を非難する声明を出し、日米のトップも、10日の首脳会談の後に出した北朝鮮への核・ミサイル開発の放棄に関する共同声明への挑戦で、断じて容認はできないと明言した。だが、容認しないで何をするか――言葉のまやかしだ。政治とはそういうものでもある。敵対する側も、安倍訪米ではどんなことでも言うだろう。
 「日米の交渉で安倍内閣は対等に交渉できないだろう。トランプ大統領との会談も色々なお土産を持って行ったようだ。トランプ氏が公共事業を主張しているが、数兆円の日本が負担をして、間接的にするということも一部報道されている。カネで何とかご機嫌とってまあまあ、というやり方をしている。貿易、経済交渉になったらもっと強い要求を出してくるのではないか。自分の懐にもっと響いてきた時にどうするか。その時になってギャーと泣き叫んでもしょうがない」
 小沢一郎の講演要旨を引いたのが朝日。大陸に朝貢外交をやった人のブーメラン発言を引くしか抵抗の術が無いのも惨めだが、朝日ももうそこまで追い詰められている。
 さて本書は敗戦前から戦後にかけてNHKで活躍した丸山鐡雄(1910-88年)の評伝だ。なぜ鐡雄か。鐡雄は丸山三兄弟の長男。敗戦前に大阪朝日や大阪毎日等で論陣を張った丸山幹治(1880-55年)の息子で、晩年は日本コロムビアで美空ひばりをいびり続けた。
 俺の若い頃には神格化されるほどの政治学者だったのが次男の眞男(1914-96年)であり、三男の末弟は長男・次男と違い、全日本炭鉱労働組合で書記を勤めた邦男(1920-94年)。長男と三男の10年の生年の違いは大きい。
 長男・鐡雄は、戦後は「素人のど自慢大会」をはじめ、三木鶏郎と組んで人気番組を作り、出身母体のテレビと組んで日本の歌謡曲の全盛期の礎を築いた。しかし三男の邦男は、俺にはまるっきり活動家に近い。神のような扱いの次男の「無責任の体系」を批判した。次男と三男は戦後のイデオロギー論争の中を泳いだところがあるから、人間として観た時には大して面白くない。
 その点、長男は早くに世間に出たこともあり、敗戦前の全体主義の世相の中でNHKに潜り込んだ人物だから、戦後の世相を泳ぎ渡る抜き手は面白い。素人にのど自慢をやらせたのはこの男の発案で、国中が熱狂する超人気番組になった。あの美空ひばりの映画初出演は笠置シヅコの「東京ブギウギ」を歌った「のど自慢狂時代」。しかし彼女は実際のNHKのど自慢大会の予選では「子供らしくない」として失格させられている。
 ひばり人気が不動になった昭和25年になっても「かりにいま美空ひばりが、のど自慢に出場したとしても、私は鐘を鳴らさぬだろう」と毎日新聞に書いた。その後、ひばりが田岡一雄との関係で世間の非難を浴びた時は日本コロムビアの役員として彼女を叩いた。そしてNHKから長い間干された。音楽専門教育を受けていないひばりのような素人も、芸者が歌を吹き込むそれまでの芸能業界も鐡雄は嫌った。
 「教育上よろしくない」というのが鐡雄のスタンスで、この辺り、次男の眞男がヤクザの存在を日本の(それまでの右翼的な)意思決定過程では陰の重要な役回りとして攻撃したところと全く同じ伝だ。
 三男の邦男は早稲田を中退して炭鉱の組合活動に飛び込んでしまったので、大宅壮一のトップ屋グループに加わり、闘争の現場等をつぶさに見て政治運動に失望していく。「現代の眼」や「創」等の雑誌に連載した共産党批判も含めた天皇の戦争責任を問う「天皇観の戦後史」[白川書院]は奇跡的に面白い。
 天皇を躊躇せず批判している。このため、敗戦後、「人間宣言」をした象徴天皇を嫌った三島由紀夫の思想を首尾一貫していると誉めている。「豚か狼か」等の作品のタイトルで先入観を持たれて損をしている。邦男は制度の批判でなく、天皇自身を批判した点で、三島由紀夫と並ぶ。敗戦後も尻小玉を抜かれていない稀有な男だった。
 それでも三兄弟には消し難いエリート臭がある。朝日と同じようなエリート臭。ストを破るやくざ。これと乱闘する炭鉱夫。そこに美空ひばりを置いてみる。路傍の石ころを排除するか、その存在を見ようとしないところは実は三人に共通している。
 この書評では鐡雄のひばりイジメに筆が及ばない。どうしたことか。牧原出らしくない。一種の人民裁判で、人権を蹂躙するものだった。鐡雄の陰の部分にこそ光は当てられるべきだろう。戦後社会の道筋をしっかり見直すことはこれからのために大切な作業だ。
 さもなければ我々は思考の筋道が脆弱な「戦えない」インテリ国のまま、アジアの片隅で誰かに属国化されてしまうぜ。(政治学者・東京大教授。牧原出評、讀賣新聞)


追記
ピンチョス地獄の蓋が開いちまったぜ。あらあら大変だわね〜。本日だけでまず5軒参りました。イーサン・ホークとグレン・クローズにお会いしました。彼女は怖くて逃げてきました。イーサン・ホークはおっちゃん化してましたな。
それと、町で一番でかい教会に名古屋にいるはずのジョニーがいてびっくりしました。つて、あれは、ジーザスだよと誰かに言われるまで気がつきませんでした。
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