岡田純良帝國小倉日記

<< ニッポンに脈打つ阿諛追従の精神(肆)。 | main | ニッポンに脈打つ阿諛追従の精神(陸)。 >>
ニッポンに脈打つ阿諛追従の精神(伍)。
4月20日
ニッポンに脈打つ阿諛追従の精神(伍)。
「大本営参謀の情報戦記」[堀栄三著, 文春文庫]
 本日はこれまでマクロに見てきた第2次大戦の敗戦の根幹要因の軍部の組織的な問題と離れて、戦い方で観たい。
 日本人はハリウッド映画の中での米軍の戦い方を観て、何か違和感を覚えないだろうか。ヴェトナムのジェット・ヘリは必ず戦闘地域に機銃を掃射しながら下りて行き、傷ついた戦闘員を当たり前のように救い出し、一旦、後方に退却するだろう。
 「日本のように、いったん戦場に動員されると終戦まで行きっぱなしというのと、米国の野戦での軍隊の使い方は違っていた」
 「一度敵と戦闘を交えた米軍の師団(約二万名)は、戦闘が一段落すると別の師団と交代して後方に退って、損耗した兵員を補充したり、教育訓練をするのが二ヶ月、そして四ヶ月が休養(交代でレジャー)となっている」
 「従って、いったん戦闘をした師団が次の上陸作戦に出てくるには、最小限六ヶ月、その前後の準備期間などを入れると、六−八ヶ月がローテーションと見られた。つまり平均一―二ヶ月の作戦間隔で飛んでくると、五回飛んで六ヶ月、六回目には最初に使われた師団の戦力回復が出来上がって再び出てくることが出来る仕組みで、一回に二個師団を使うと、十個師団あればこのローテーションは可能である」
 彼らはリフレッシュしてまた戦地に現われる。恋人の写真も背嚢に入れて行くであろう。戦意高揚のためのラジオ放送も、長引く戦闘で孤立感を抑えるための重要な精神的支柱になったであろう。
 ところが帝国陸軍はどうか。陸軍部は、東南アジアから南アジアの島々の研究を開戦前から怠り、戦中は手書きの地図を使い回しにしていた。本書で再三指摘されているのは、二流、三流の中国軍を相手にしていて、南海の島での戦い方を全く研究していなかったという大本営の“職務怠慢”である。
 ニューギニア島は険しい前人未到の3,000mもある脊梁山脈が東西に走る、極めて剣呑な島であることさえ考慮していなかった。ために現地支隊に南岸ポートモレスビーの占領を命じたが、目的地に蟠踞し、最前線の戦い振りを知悉していたのが米軍の最高司令官、Douglas MacArthurであった。帝国陸軍は組織的に大バカである。全く、笑えない。
 「太平洋の島々は日本の小笠原諸島を含めて、日本が守備隊を配置したのが大小二十五島、そのうち米軍が上陸して占領した島は、わずかに八島にすぎず、残る十七島は放ったらかしにされた。米軍にとって不必要な島の日本の守備隊は、いずれ補給もない孤島で餓死するのだから、米軍としては知らん顔であった」
 「戦後の調査資料(数字はいずれも概数にとどめる)によると、前記二十五島に配置された陸海軍部隊は、二十七万六千人、その内、八島で玉砕した人数が十一万六千人、孤島に取り残された人数が十六万人、そのうち戦後生きて帰ってきた人数が十二万人強、差し引き四万人近くは孤島で、米軍と戦うことなく、飢と栄養失調と熱帯病で死んでいったのである」
 これで終わるにはあまりに情けない。一般には知られない日本軍の戦闘を引用したい。ペリリュー島守備隊中川州男大佐(戦死後二階級特進、中将となる)の歩兵第二連隊(水戸)の戦い振りである。
 「九月十五日以降、十一月十四日の中川州男大佐の自決に至るまでの二ヶ月を一個連隊を基幹とする部隊(約五千名)で、米軍二個師団と押しつ押されつの戦闘を繰り返して、文字通り米軍に悲鳴をあげさせただけでなく、山口永少尉以下三十四名は、連隊があらかじめ作った最後の砦である地下壕や洞窟を利用して、ゲリラ戦に転じて昭和二十二年四月二十一日まで戦闘を続けていたのである」
 この戦法については、堀栄三らが、大連にあった中川連隊に出発直前にレクチャーをし、中川連隊長が時には質問したという。
 ポツダム宣言受諾から1年8ヶ月後、投降したのは34名。実際には掘り進んだ地下壕を逃げ惑ったそうだが、数万の米軍に囲まれて白旗を揚げなかった日本人が34名あったとは、泣ける。水戸隊の造った要塞と地下壕、その奮戦振りは、硫黄島の闘いの原型となった。
 「つまらん連中が上に立ったから、下の者が苦労したのである」
 若い時に竹原海兵団に志願した我がオジキが別の機会に遺した言葉は全くその通りだと想う。


追記
現在我在北関東某地。体調不良也。
| 9本・記録集 | 08:42 | comments(0) | trackbacks(0)
スポンサーサイト
| - | 08:42 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://punkhermit.jugem.cc/trackback/4764
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
SPONSORED LINKS
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
モバイル
qrcode
LINKS
PROFILE