岡田純良帝國小倉日記

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ニッポンの行方――「人斬り」から40余年(下)。
6月18日
ニッポンの行方――「人斬り」から40余年(下)。
 五社英雄の「人斬り」はVHSビデオで観たことがあるような記憶があった。実際には、VHS化された後、もうここ20年間ほどは公開されたこともないそうだから、観たというのはこちらの記憶違いであったかも知れないし、勘違いであってもおかしくない。
 そして、実際に今回観てみると、作品はフジテレビと勝プロの共同制作映画であって、今日のテレビドラマの撮影や製作方式が、映画のフィルムに焼き付けられている新感覚のものだったことに驚いた。その点で、時代を先取りした作品という感じも一方で持った。
 映画のクレジットで、いきなり、「フジテレビ・勝プロダクション」という併記があって、だから何となく、テレビ映画という感じがするのかも知れない。1969年(昭和44年)作品であり、フジテレビ第2回映画進出作品として、真夏の8月のお盆休みに公開されたそうだ。
 後半部で、捕えられた岡田以蔵が奉行所の牢屋に投獄されると、いじめようと手ぐすね引いている牢名主役の萩本欣一と熊髭役の坂上二郎の出てくる場面があって、その場面はそれまでの緊張が破調して、当時のTVの公開収録場のようなお約束っぽい間合いになる。だから映画館でも笑いが漏れた。
 「鬼龍院花子の生涯」を撮った五社英雄らしく、カメラのリズムもテレビのようであって、人が斬られたり槍で突かれたりする場面では、一瞬だけ、サム・ペキンパーの得意だったスローモーションが使われるが、それは決して映画のリズムではない。カメラの構図にもそれが感じられる。ここでは「人斬り」の映画として感想に残った部分のみ記しておく。
 冒頭、吉田東洋役の辰巳柳太郎が3人の刺客に襲われる場面は、陰惨なシーンが長々と続く。この場における辰巳柳太郎は悲壮だが重厚で、敵に死んでも後ろを見せない武士の鑑のようで、立ち往生のような最期を遂げる。少年時代の緒方拳が、辰巳柳太郎の演技に魅入られて新国劇を志したことがよく納得できる、武士らしい美しい死に様であった。

こちらはカツシン晩年の「浪人街」(原田芳雄と勝新太郎)から。

 今回の映画祭の中心の三島由紀夫は、薩摩の“人斬り新兵衛”こと田中新兵衛役で登場する。場面は少ないのに、役柄は実にオイシイ。場をさらう演出になっているのだ。本作への出演を依頼するために、勝新太郎は三島由紀夫に三顧の礼を尽くしたという話がある。本作での三島由紀夫はそれだけのものはあるだろう。
 居酒屋で呑んでいるカツシンの以蔵の前に現れた、小柄なミシマの新兵衛。
 「岡田以蔵にも邪魔をして欲しくない相手がいる」
 田中新兵衛はギョロリと土佐勤王党の面々を睨み、
 「坂本龍馬だ」
 そう言って、大きな眼で岡田以蔵を見詰める。
 「勘定して呉れ」
 そこに間合いを外したかのようにノンビリとした声で座敷から現れるのは石原裕次郎の坂本龍馬。自ら姓名を名乗った田中新兵衛は、坂本龍馬に畳み掛ける。
 「貴公の姓名をお伺いしたい」
 すると、間があって、
 「坂本龍馬」
 その折の三島由紀夫の眼がいい。無理に身体を後ろに返し、店を出ようとする裕次郎の坂本龍馬を見上げる。感情が読めない黒目の大きい真ん丸の眼だ。
 実は、田中新兵衛とは薩摩藩士ではない。脱藩した浪人である以前に、海音寺潮五郎の言葉を借りれば「海に近いあたりの町の、薬種商某の子で、町人ながら勇壮で武を好」んだ人物である。薬種商の家に生まれ、密貿易船の船頭であったとも言われる。だから、
 「薩摩の田中新兵衛」
 とは、大きく出た物の言い方になる。
 三島由紀夫の本名、平岡家も田中新兵衛と同様、士族ではない。維新後の官僚の3代目であった。三島の切腹を士族に憧れて死んだと言った者もあったが、論外であろう。この映画の後段で、翌年には現実世界で自刃することを知る観客にとり何ともリアルな史実が用意されているが、ここでは触れない。想い出すのは岡倉天心の戯れ句。
 「谷中うぐいす初音の血に染む紅梅花 堂々男子は死んでもよい
 奇骨侠骨開楽栄枯は何のその 堂々男子は死んでもよい」
 田中新兵衛は薩摩藩の中で最期まで武士に取り立てられることもなかった。その死すら、汚名と誤解に包まれ、150年後の今も真実は解明されていないのである。



追記
クレイジーじょんこより、善男善女に緊急秘密指令。「Happy?」

おかっち こんばんわ
おかげさまで 決まりました。
P.I.L. 8月15日 新木場スタジオコーストでライブです!
じょんこ

お盆やなぁ。盆踊りや。
| 1ミシマ | 07:56 | comments(0) | trackbacks(0)
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