岡田純良帝國小倉日記

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続々・今週の気になる本――風は京都から吹いてくる。
小倉日記’09(第十七弾)
7月10日
続々・今週の気になる本――戦争と貿易。
「貿易の嫉妬 国際競争と国民国家の歴史的展望」[Istvan Hont著・田中秀夫訳, 昭和堂]
 2008年の政治学会グリーンストーン賞、経済学史学会シュペングラー賞をダブル受賞。現在、野に下った共和党にとっても、民主党にとっても、意義のある研究書だろう。
 評者はこう書き始める。
 「『戦争する』と対になる言葉。それは実は『貿易する』ではあるまいか。交戦国同士は貿易はしない。戦争は互いを害し合うが、貿易は互いに恵み合う。貿易が続くかぎり戦争はおきない。平和を現実的に裏打ちするのは、何よりもまず貿易だろう。貿易の貫徹を政治の第一義とするのが、戦争克服と平和実現の早道だ」
 ここまで読むと、まるで、「海援隊」を説いた坂本竜馬の演説のようだ。
 ところがホッブスは人間を闘争的で性悪と考え、貿易の基礎となる人間の信頼や友愛を否定し、マルクスは革命によって人類は一枚岩になると説いたから、革命成就の暁には貿易は不要であった。つまり、彼らは、貿易を政治の本題から避けたと続ける。
 「近代は貿易を不当評価した。損得の話としか思わなかった。貿易による真に互恵的な世界の徹底のみが平和を保証するというごく当たり前の思想を世界の中心に置かなかった」
 「平和は貿易と組んでこそ、抽象論や理想論を離れ、生きた言葉になる。この本は、相も変わらずナショナリズムに浮かされ、戦争の影におびえる混迷の現代に贈られる、福音の書だ」
 日本の場合、江戸から明治へ移行する混乱期に、内政の不安定に乗じて、欧米列強から戦争を仕掛けられたなら、万に一つでも今日の国勢は無かっただろう。それもこれも、外圧によって開港を余儀なくされたとはいえ、貿易を掲げて右往左往した徳川幕府も、富国強兵へと舵を切った明治政府も、貿易立国を国是として外国に当たって、奇跡的に日本史上最大の国難を乗り切ったからだろう。
 だから、本書は理想だと思うけれど、今日では難しい。趣旨は大賛成。個別の各論ではどうだろう。極東の政治は極めて不安定だ。今や欧米列強より、隣国によって、我々は明らかな脅威に晒されている。
 ウルムチでの漢民族に対するウイグル族の暴動。北朝鮮の内乱の不安も消えない。勝者である漢民族や独裁者による人権蹂躙の数々への内圧は高まっている。アフリカ諸国の指導者による欧米主導の人道支援への抵抗も、過去の怨念の蓄積が噴出したのだろう。
 村上春樹のベストセラーは発売後間も無い先日、200万部を超えたと報じられていたが、これだけの学術書が京大の研究者によって翻訳されても、京都学術ネットの小書店から出版されているという現実を考えると、一方で、大手出版社の矜持はどこに消えたかと思うわけだ。(音楽評論家・日本思想史研究家・片山杜秀評、讀賣新聞)


追記
ウルムチ〜ッ(by 金麦夫)の暴動の現場を報道する映像の中には、スコップとかツルハシみたいなものだけではなく、ヌンチャクみたいなものをジャラジャラさせている男などがいて、異様に思った方もいるでしょうなぁ。あれこそ、○○でありますな。砂漠のはずれだけれど、地下の水流が命の綱。街には高低差があって、1000年の昔から、中東の難民が流れてきていたから、ワインの原料になるブドウ(干しブドウ)とハミユ瓜とサフランが名物なのだ。
虐げられている少数民族は、漢民族よりも混血によって美しさが断然輝いているから、それも嫉妬の種なのだ。ま、一筋縄ではいかない。キルギスに流れ込んでもおかしくないわね。
どうも電車に乗っている時間が長くて、しかも朝晩は寝不足。体調不良ですらぁ。どうしたことかね。
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