岡田純良帝國小倉日記

浪費モードに。
3月22日
浪費モードに。
 カナガシラを買ってきて清蒸にしたのだが、コイツは今まで見たどんなカナガシラよりもデカかった。ニッポンでさえもこんな大魚は見たことはない。
 頭は大きな握り飯位もあるわけで、頭骨は太くとても噛み砕いたりすることはできない。
 つまり、味は大味で、やっぱり、大したことはないわけなんだよ。

      カナガシラ清蒸 (2).JPG

 そいでもって、ガタイが大きいからか、水分を多く含んでいて、通常の調味料だと水気で薄まってしまう。だから李錦記の香味醤油の「蒸魚鼓油」をテーブルに持って来て足しながら喰らうということになった。
 魚も人を舐めるのかどうか、これなら、通常サイズのカナガシラを買ってきて頭を丸ごと喰っちまう方が楽しい。
イギリス人ってのは、ダメだなあ。喰いモノを粗末にして、ナニが文化なんだろう。どうも、魚喰っても不味いってかなりダメだわなあ。絶対民度指数、俺的にはかなり低い。
 翌朝は残った魚の油をこうして玉子掛けご飯にした。これまでは色々あって、イギリスの卵は危ないので、避けてきたところがあるからね。

Clarence Court Burford Brown Free Range Eggs.jpg

 こちら在住のニッポン人の諸兄姐から「Clarence Court Burford Brown Free Range Eggs」はいいからと薦められて「チャレンジ」してみた。だけど…全体に濃いのだが、味は薄いんだなぁ。
 あんまり文句を言うとバチが当たるのでじっと堪えることにするワイナリー。こうして日本に帰る前に消費モードというのか浪費モードに入って参りました。
 そうそう、日本に引っ越すということでは、今のところは、ないからね。

かながしらの清蒸の残り汁を掛け回した玉子かけご飯 (1).JPG
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今日のひと皿(3)――Marseille某店にてOysterの喰い倒れ
3月21日
今日のひと皿(3)――Marseille某店にてOysterの喰い倒れ
 前々から噂には聞いていたMarseille某店。ここも、昨日紹介したスープやリゾットを出す店とはとても近い。
 もっというとMarseilleの旧市街は歩き回れるくらいの規模で、通りも入り組んでいる。だからみっちり8階建てくらいの建物が市街にひしめき合って、所々に広場があるくらい。その広場には、魚や野菜の市場があって、昨日紹介した朝市と同じように地中海の新鮮な魚介が安価で手に入る。
 だから市街には新しい公共の建物は殆ど見られず、我々の投宿したおフランス系企業の経営するホテル・チェーンも新しい建物ではない。70年代のコンプレックスの中にあった。
 新しい美術館や博物館は、港の先を埋め立てた新しい土地に乗っている。その何れもが、かなり斬新な建物で、如何にもフランスらしい。
 「今はSpainが世界一だけどね」
 建築科の学生に言わせると、そうは言っても建築の世界ではまだまだフランスには相当ぶっ飛んだ建物が建設されているそうで、その辺りの奇抜さは、成金の獄中辺りが今後は受け継ぐのだろう。
 というわけで、我々の入った店は、その魚市場からも程近い場所にあり、魚屋の直営のレストランだ。レストランと言っても、そうだな、紀州白浜の「とれとれ市場」とか北海道函館の「はこだて自由市場」の場外食堂と同じセルフ方式だ。
 ParisでもBrusselでもトライした甲殻類のプラター。無論、自分で1個ずつ発注してその場で打って貰う。フランス中から牡蠣も集まっているし、雲丹も2月が旬だからまだ近在のCarry le Rouet産の最高のブツがあった。

20170305 (牡蠣地獄1)

 こちらは、まず日本には殆ど無いゆえに日本でも有名なブロン(Belon)産のヒラ牡蠣だ。名前は文字通り地名と同じ「ブロン」。海水と淡水の交じり合う汽水地域に大きな養殖用の塩田があるという。濃厚で味はまことに深い。

20170305 (Belon)

 こちらはブルターニュ地方カンカル(Cancale)産の牡蠣。「Mont Saint-Michel」から直ぐ脇の塩田で養殖されている「カンカル」。例の修道院への道は干満の差が世界一だそうで、その干満の差がこの牡蠣の強い塩気に出ていると言われる。
 確かにMarseilleの港も干満の差が激しく、かなり満潮時には海面がせり上がってきて、ちょっとドキドキするくらいだ。牡蠣の味は養殖された土地土地の海水によっても変わる。この「カンカル」は潮気が強いように感じられた。

     20170305 (Cancale)

 ノルマンディーのイズニー(Isigny)産の牡蠣。無塩バターでも知られる街で、海産物はノルマンディーの良港として有名だ。この辺りはヨードたっぷりで身も大きいのが売りで、実際、とても身がふくよかだった。
 ギャング映画では、この辺りの男は特別とされている。
 「ブルターニュの男だから」
 暗黒街でそう言った時の暗喩は寡黙で約束を守る「義理堅い」ということで、つまりは、ブルターニュこそ、ギャングの産地というわけだ。この辺りは、海賊の末裔のケルト系が定住したと言われている。むべなるかな。

     20170305 (Isigny)

 そして西フランスのオレロン(Oléron)島の牡蠣、ジラルドー(Gillardeau)がコチラである。 マレンヌ=オレロン(Marenne-Oleron)産の中でも有名なジラルドーは、英語名はGreen Oyster。
 ここの塩田は海藻類を練りこんだ泥が敷き詰めてあり、そのようなマットの上で牡蠣を養殖するから牡蠣の口が緑色になり、やがて身も緑色に変わる。フランス人に言わせると、「官能的な引き締まった肉厚の身」ということになるわけだ。
 我が広島県の大崎神島でもここの牡蠣を持って来て養殖しているというのだが、何れは帰国したら喰ってみたい。

     20170305 (Gillardeau)

 フランス人はともかく牡蠣が好きだ。それも徹底的にその場で牡蠣殻を打つから旨い。海水は塩分が濃く、ミネラル分が多い。ヨードが多い感じが確かにある。俺はこれほどの強い塩味だから、あまりレモンを絞らなかった。店のオリジナルのワインも安くて旨く、何も言うことは無かったぜ。

Le Deuxième Souffle (11).jpg

 Gustave Mindaも愛するManoucheとコイツを喰っていたんだろう。この役者たちは男女何れもとっくに亡くなっている。もう、俺の年も彼らの年齢を超えてしまったわけだ。映画は、それでもなお、俺に訴えてくるものがある。


追記
今日は雨ちゃんだった。美能幸三の件で、ちょっと問い合わせもあったりしたけれど、ま、おいおい書いてくけえ、焦らんで待っとってつかいや。オホホホホホホホ。ホンモノの呉の人はあげな喋り方はせんですよ。あれは笠原弁。脚本の方言指導者も東広島とか庄原の人だったというけんね。
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今日のひと皿(2)――Marseille某店のFruits de Mer Risotto
3月20日
今日のひと皿(2)――Marseille某店のFruits de Mer Risotto
 Marseilleでは21世紀の今日もって、まだ漁師家族たちによる朝市が開かれているのだ。この朝市は有名だが、実際に見ると、中々胸に迫るものがある。旧港は岸壁が深くU字型に切り込んだ形になっていて、市場はそのボトムで開かれる。
 常日頃はヨットハーバーとして使われているから、U字型の入り江には大型のヨットが櫛のように係留されているから、ボトムに立って地中海を見ると決して見通しは良くない。
 「来た、来た、お父さん、来たわよ!」
 マストの林の向こうから、しなびたような漁船の姿が見えると常連客の夫婦は声を掛け合って岸壁に集まっていく。
 ヤンマー製のディーゼル・エンジンが猛り狂ったような唸り声を上げ、漁船がゆっくり横付けされるのを待って、人の群れがどっと移動する。見ていると、2艘1組のようだ。水揚げされた獲物はすでに船上で直径1m程の黒い大きなポリバケツに入れられていて、若い息子(兄)がドサッと地上に放ると、別の息子(弟)がこれを引きずって行く。
 「今日はイキのいいアンコウがあるかい?」
 「そう焦るなって」
 知り合いの年寄り客をなだめるのも息子の役目らしい。

20170304 (掲載1).jpg

 家族経営の漁師の市は各々少しずつ個性があって、甲殻類、とりわけ牡蠣などの貝類を中心とした店はアジア系の客が群れている。生牡蠣を打ってその場で喰わせてくれるのはMandarin語圏の人々に知られているようだった。
 フランスの美食文化は知られるところだが、こと牡蠣の生食については日本は足元には及びもしない。牡蠣打ち職人のÉcailleでも知られる通り、牡蠣はその場で打って喰う。俺はParisでも某地区に還暦過ぎのマダムの経営するいい店を見付けたけれど、ここでも牡蠣はその場で打つ。
 マダムは俺が酒好きなことを覚えていて何も言いもしないのにグラスに並々とダブルで白を注いで呉れる。歳を取って俺の好みになったEllen Barkin(1954年-)に似ているので多分彼女自身も意識しているんだろうな。
 この外、魚類は豊富で、タコの足、モンゴウ、アオリ等のイカ類、スズキ、ホウボウ、アンコウ、オコゼ、ヒラメ、鯛、ハタ、鯵、鰹まで、日本で手に入る魚介類は大抵売っていて賑やかだ。鰹も日本の市場から比べると小型のモノが主流だが、丸々と太ったイキの良さそうなのを見ている内にワクワクしてツバキが湧いてくる。
 そんな俺の話はどうでも良い。古くから知られる朝市は今も変わらぬ賑わいなのだが、すっかり消えていた風俗もある。旧港広場もそうで、昔、この辺りの老人は地元で生まれた球技、Pétanqueを広場で楽しんでいたものだ。金属製のBoulesを木製のJackに投げるゲームで、老人がグループになって競い合い、終わるとワインを呑みにCaféに入る。

20170304 (掲載2).jpg

 今の人は知らないかもしれないが、残り少ない人生を予感しつつ人々の間から老人らが打ち興じるゲームを観戦しているのが、変装して口髭を蓄えた“おやじのギュ”こと、Gustave Minda(Lino Ventura)なのである。
 おっといけねえ、メシの話だったっけ。広場から、たった一ブロック裏に入った場所にある某店。有名な店なのだが、店構えがショボくってワリを喰っている。世界中から客が来る。しかし皆さん、あまりに店がカジュアルなので拍子抜けしているようだ。
 俺たちはフライの盛り合わせを頼み、「Fruits de Mer Risotto」と「Soupe de Poissons」をさらに頼んだ。
 昔のMarseilleなら、紅白のチェックのテーブルクロスを掛けたRestaurantがあったのだろう。実は、旧港のこの店も、1階は天井の低い厨房で、客は、狭い階段を昇って2階に通される。この1階と2階の不思議な構造を見て、
 「ゴールデン街だよね」
 アクビ娘が言った。言うことにヒネリが効いてらぁ。建築専攻の学生だけあるわね。
 アクビの言う通りで、チョンの間の構造はまだこの旧港裏の辺りには残っているのだ。入江に面した古いホテル群も同じで、往時、7つの海をまたにかけて往来した船員たちの夢の跡が楽しめる。
 つい5年ほど前までは、秋葉原から神田の高架下にはチョンの間の跡を改造したようなバーが残っていたが、今はどうなのだろう。
 ともあれ、「Fruits de Mer Risotto」と「Soupe de Poissons」。生臭さは全く消されていて、とりわけリゾットは練り混んだチーズがソースと渾然一体に絡み合って、最初の一口からクライマックスが来た。
 (うっ!)
 またまた図らずも両目からどっと熱いものが。


追記
雨模様が続くロンドン。ちょっとツライなあ。晴れては来ても、また雨になる。ウイットつてのは皮肉のことだから、雨の続く町で育った人間は辛抱強い皮肉屋になるってことなんだろうかねー。
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今日のひと皿(1)――Marseille某店のBouillabaisseとMarseille某店のSea Food Soupe
倫敦日記’17(第十一弾)
3月19日
今日のひと皿(1)――Marseille某店のBouillabaisseとMarseille某店のSea Food Soupe
 子供の頃からMarseilleは憧れの街だった。これは映画による影響が強い。
 William Friedkin(1935年-)のアメリカ映画、「The French Connection」(1971年)を観た時に、映画には殆ど出て来ないまでも、タフなNYPDが待ち受けるNew Yorkに次から次へと手強い男たちがヤクを携えて、あるいは拳銃を持って現れる。それがMarseilleであった。
 「French=Marseille」として俺の脳幹の深い部分にその名が刻印された。
 さらに多感な年頃にはJean-Pierre Melville(1917-73年)の最高傑作、「Le Deuxième Souffle (邦題:ギャング)」(1966年)を観た。Lino Ventura(1919-97年)は余りに美しく、そして哀しい。Christine Fabrega(1931-88年)の稼業の女らしい気風がカッコ良かった。何時か行きたい街として決定的に意識されることになった。

        「おとしまえをつけろ」表紙。.jpg

 原題は「第2の息吹」。稼業の世界では脱獄した男が再度大きなヤマを踏むことを指す。原作はJosé Giovanniの同タイトルだ。ハヤカワ・ミステリで「おとしまえをつけろ」[岡村孝一訳]で出ていた。初老に近い男、暗黒街での通り名の“おやじのギュ”が脱獄し、紆余転変の挙句、もう一度大きなヤマに挑戦する。
 前半はParisだが、後半はMarseilleが主な舞台となる。犯罪現場がMarseille手前に拡がった南仏の山岳地帯であること、犯罪に使った車を絶壁から地中海に落とすシーンの崖の白さ、そして最期の大勝負はこのMarseilleが舞台だ。空港から乗ったバスで、もう俺の気分は、身を隠し、髭を蓄えた“おやじのギュ”であった。

       「The French Connection」英語版表紙。.jpg

 今回、初めてMarseilleに足を踏み入れ、コーフンは隠せない。あの教会の丘の上から、とか、あの路地の裏で、とか、あの入り江に降りる階段で、とか、もうジワジワと自分の胸を過ぎるシーンがあって切ない。
 José Giovanniは、何歳になっても挑戦し続ける男を描き続けた人だが、この原作では、Parisの暗黒街で名を売った男、“おやじのギュ”が再びヤマを踏む理由がカッコイイ。せっかく脱獄しても、過去に身に付いた暮らしのため、質素倹約の暮らしができないのだ。
 男は名誉のために死にに行く。だが、Christine Fabrega演じる暗黒街の女が“おやじのギュ”を見送った後、誰の許に走るのか見えていて、José Giovanni作品として珍しく男女関係で胸苦しくさせられる。実は男の視点から描いた恋愛の傑作でもあるのだ。
 つまり、俺にとっては、「The French Connection」では、Turquieの悪い商売人らと組んだ戦後の新興French Gangの暗躍する街であり、「Le Deuxième Souffle」では、Parisから流れてきた古臭いGangの脱獄範が交錯する街がここ、Marseilleなのだった。

Bouillabaisse地獄 (3)

 ガキのようだろう。しかし、男はそんなものだ。
 俺は「Pépé le Moko (邦題:望郷)」(1937年)が大好きで、高名な映画評論家になった人と、その幼馴染を知っていて、2人の片割れは先年世を去ったが、2人は最晩年まで、映画の舞台になったAlgierまでどちらが先に行くか競争していたことを知っている。
 彼らは旧制中学・高校で席を並べた。戦中は旧制中学で工場に働きに出た世代で、昭和後半から2人共にそれぞれ違う世界で一隅を占めるようになった。だが、カタギの世界に身を置いても、ココロは悪ガキみたいなところがある人たちだった。
 何もMarseilleに限った話ではないが、いい店は接客する側の人間にも優しさがある。俺たちは予約も無く、突撃して開店直ぐに店に飛び込んだ。マネージャーは鷹揚に構え、テーブルを作って呉れた。Soupeに入れる魚介を説明して呉れる男の子はヤンチャ盛りで髪をオールバックにしていた。若い頃、「クール・ソロ」の鮎川誠みたいでもあった。

      Bouillabaisse地獄(1)

 Provenceの料理は俺の味蕾の直球ど真ん中に入ってくる。街からちょっと車で走ると、小さな港町がある。文字通り絵に描いたような信じられないほど映画みたいにカッコイイ小さな漁港。そこにある某店のBouillabaisseである。Salvador Dalí(1904-89年)も通っていた老舗だが、そんなことはどうでもいい。喰って初めて彼らの矜持が分かる。
 そしてMarseille港の某国沿岸警備艇が係留されているHarborのド真ん前にある某店。ここのSea Food Soupeも旨かった。

Bouillabaisse地獄(2)

 先般のNapoliもそうだったのだが、この街にも、男の論理が生きている感じはあった。女にとってイヤなことはなかろう。男は優しくないとダメなのだ。少なくとも、俺は一人居心地が良く、自然に笑いが浮かんできて困ってしまった。
 余計なことだが、「Le Deuxième Souffle」は2009年にリメイクされた。そのこともあり、1966年のOriginal作品が日本でさえ再評価されているそうで、嬉しい。1985年に初めて観た時は、この世界に魅入られてしまい、現実世界に暫く戻ることができなかった。
 若い世代の間でグッと評価が高まっているのは頼もしく心強い限り。Marseilleの街のそこここに“おやじのギュ”は生きている。Napoliと共に何時でも再訪したい街の一つになった。


追記
本日も静かに市内を潜行しておりましたが、結局のところ、何も決められずにトボトボと帰還しました。
昨晩からずっと「The Sicilian Clan」問題を検討しておりました。クルマを運転するとなると、今回、帰国した折に、眼鏡を作らんとアカンわい。彼らがかけたように、薄手の渋い黒メガネにしようかなと想っております。

The Sicilian Clan (1).jpg
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今日のひと口(5)――Iberico Hamとベシャメルソースのポテトサラダ和え
3月5日
Iberico Hamとベシャメルソースのポテトサラダ和え
 この旅は俺は先に抜けたのだから、3泊4日の旅に過ぎなかった。しかし3泊4日でも、旅は旅だね。すっかり寛いで朝から晩まで盛大に呑み、かつ、喰った。
 日本からなら、日本との往復まで考えなければならないけれど、ヒースローなんて、スペイン辺りならチョンよ。通わなければバチが当たるわい。 
 俺の隣のカップルなんて、初めてのフライトだったみたいで、着陸の時にはシート・ベルトも締めず、着陸直後に感激して手を握り合ってチューしてんだからねえ。ウブウブな子たちも乗っている、気安い路線なんだよな。
 だけど、「倫敦砂漠」から行くとこんな皿が出てくるわけだ。信じられんほど旨みのある一口。口内で旨みが爆発!

Iberico Hamとベシャメルソースのポテトサラダ和え (掲載).jpg

 3泊4日の間、Iberico Hamはどこに行っても本当に贅沢に使ってあった。俺など薩摩黒豚の豚仙人でもあるけんね、もう、狂喜乱舞の世界だった。
 このベシャメル・ソース和えなんか、ま、皿としては悪く言えば、見るからに切り落としのゴミみたいなところの寄せ集めなんだろう。
 だけど、腐ってもって、洒落にはならんけど、イベリコ豚ですからねえ。この店のソースは、チーズとマヨネーズみたいな風味もあったから、モルネー・ソースと呼ぶべきなのかも知れんけど。
 トマトケチャップを混ぜるとオーロラ・ソースになるそうだけど、ここのはあくまでもそれこそ悪魔のような光。景気良く盛り上げてあって嬉しくなっちまう。
 ピンチョスは文化としてこれほど盛り上がったのは、たかだか30年くらいの歴史しかないんだそうだよ。だから、俺は強く感じだけど、調理人はニッポンの鮨文化を間違い無く強く強く意識している。
 サーディンも何皿も喰ったけど、酢漬けなんての、シャリの代わりにパンとポテトベースのクリームみたいなのが土台として盛ってあって、そこに鮨宜しくサーディンが上からデレデレっと花魁みたいに乗っているわけよ。
 恐ろしい土地だと想った。俺は、ニッポンの調理人に言いたいね。油断大敵だわな。
 敵地に攻め続け、素材を開拓し続け、変わり続けていかなければイケン。ヒタヒタと背中に迫る彼らの足音が聞こえんようではアカン。
 正直、こんなに旨いとは考えもしなかった。どの皿も旨い。とても深く研究し、斬新な試みに挑戦し続けている。俺の涙もムダにならんとええなあ。あんじょう頼んまっせ。

サーディン酢漬け (掲載)


追記
夕飯喰ったプレートが胃腸に効いて重くなってます。南仏の男たちが困った顔をして俺のことを見たのは面白かった。けど素朴で気が良くて優しいんじゃないかな。慇懃無礼がいちばん付き合い難いからねー。
さて、そろそろ起きるとするかな。自民党9年やれるようにしたようだけれどその後の展開は却って混沌としてしまうことになるからな。今読んでいる阿部眞之助の明治の元勲のお歴々の評伝からは、明治憲法も到底衆愚には政治は任せられないとするものであったとあるが、それでも1つだけ戦後の大勲位センセイと違う点がある。敗戦前は国内政争の内圧が異常なまでに高かったけれど、敗戦後は、ともすればワシントン詣出で地位を盤石にしようとする者が、頻繁と政権を握ることだ。敗戦に至るまで、我々はどこまで衆愚であったろうと、阿部は書いている。個別の良し悪しは取り沙汰せずに、憲法発布した時の総理、伊藤博文が、衆愚に任せられないと書いていることを抉っている。けだし心ある者は銘記しておくべき寸鉄でありますわなぁ。
| 7喰う | 14:37 | comments(0) | trackbacks(0)
今日のひと口(4)――イカ墨とベシャメルソースで練ったイカのコロッケ
3月4日
今日のひと口(4)――今日のひと口(4)――イカ墨とベシャメルソースで練ったイカのコロッケ
 これは、昨日紹介した店とは別の店で喰ったヤツだが、バスクの料理人のレベルが高く凄味が感じさせられるのはソースだな。
 コイツも、ベシャメル・ソースにイカ墨を溶いたものを練って、そこにイカの身を仕込んでいる。このレシピは、確かにベシャメル・ソースにコクがあるんだけど、コクはあってもあっさりしている。そこに凄味がある。

今日のひと口(4)――イカ墨とベシャメルソースで練ったイカのコロッケ  (掲載).jpg
 
 この日、昼間に入ったSaint Sevastianのシーフードが売り物のレストランで、「イカのイカ墨ソース和え」を喰って全員がビックリしてしまった、という伏線があった。実はね。
 真っ黒なイカ墨のソースは極々薄味で、臭みが無く、古い日本語で言う、滋味溢れるものだった。だけどイカ墨。強烈な脂分があるわけで。
 一見、真っ黒なギラギラした皿は、グロテスクな強い味がするかと想ったら、とんでもない上品な一皿だったね。

イカのイカ墨ソース和え (掲載)

 だが、物足りないかというと、決してそんなことはない。パンに擦り付けても全然負けない立派なソースだ。何せイカ墨だからなぁ。信じられないわけ。脂分と薄い滋味と。凄いあり得ない味が一皿にバランスしているわけだな。
 (このソースに行き着くまで)
 どれだけの試行錯誤があったのかと考えると、またまたジワジワと涙が出てきた。
 その昼間の一件があっての夜のピンチョスのコロッケで、こいつはベシャメル・ソースだからコクがあるけれど、昼間の別の店と同じく、尖った濃い味付けではなくて、滋味溢れるものだったから、ますます泣けた。

    イカのイカ墨ソースとベシャメルソースのコロッケ (掲載別)

 身を削って努力しているんだろうなと想いましたね。俺がナウなヤングな調理人志望だったら、きっと、この辺りには住んで、腰を据えてベンキョーしたんじゃないかなと想います。
 海の幸、山の幸、そして基本的な調味のオイル、さらに米まで含めて、まことに豊かな土地です。そこに世界中の喰いしん坊が集まってきて盛大にやっている。
 アジア人は日本人が何組か、そして香港系らしい子たちが何組かいただけだった。1990年代の半ば頃のヨーロッパ戦線を想い出しましたな。


追記
昨日は海の幸でぶっ飛ばされました。今日は嵐ですわねー。
阿部眞之助の近代政治家評伝は面白い。原由美子など、登場する著名人の係累子孫の皆さんもお読みになると、きっと今まで知らなかった一面が分かって面白いだろう。
| 7喰う | 16:50 | comments(0) | trackbacks(0)
今日のひと口(3)――酢飯のマグロ載せわさびソース添え
3月3日
今日のひと口(3)――酢飯のマグロ載せわさびソース添え
 これはBilbaoの2日目で入った老舗の「La Viña del Ensanche」(http://www.lavinadelensanche.com/es/)で頼んだ一皿。俺が強く主張して頼んだ。
 「どうよ、これ」
 「ええ?」
 「イメージできるじゃん」
 女子連はイマイチ。
 「ここまで来たらこういう料理を試してみなければイケンですよ」
 日本人は外地でわざわざこういう「酢飯のマグロ載せわさびソース添え」なんて頼まないだろう。だけど、それまでの2日間で、スペインのシェフの研究熱心さに打たれていたので、彼らがどれくらい和食を研究しているか、実地に知りたいと思ったわけですわ。
 (うーん!)
 見かけはこんなもんだ。
 「おおっ!」
 口に入れると、刺身は日本の生醤油ではなく甘いタレがかかった「漬け」にしてあって、酢飯もナマの酢でなくて、少し甘めだったけれど、この2つの組み合わせに、さらにワサビのソースが組み合わせてあったわけだ。
 驚きの旨みのミックスだった――皿に手を出したら女性陣は黙ったもの。白ゴマと黒ゴマと。ああ、旨い。旨みを完全に理解している料理人の一品であることがビリビリと伝わってくる皿だ。
 ワサビ・ソースを無言ですくい取って口に含むアクビ。いや、こいつは工夫してらあと唸りましたねえ。実際、和食じゃないね。だけど、単純な西洋料理でもない。
 「マグロだけじゃないな」
 「サーモンもあるね」
 正式なメニューの名前は英語にすると、「Red rice with sushi accompanied by wasabi mayonnaise and green mustard」となるようだ。
 この辺りの有名店の皿はどれも丁寧に作ってある。とても高いプライドを感じさせる。そして値段も手頃で、俺はこの街に住みたいと思ったなあ。
 Londonじゃあこんな皿には簡単に出会えない。クソ高い金を払う覚悟でもなければ旨みタップリの皿には辿り付けないことが多い。無論、例外的に旨い店はあるけれど。
 素晴らしい一皿だ。なんちゃっての和食ではなくて、彼らが完全に自家薬籠中の一皿にしているフュージョンだ。脱帽しました。素晴らしい情熱とプライド。スペインの調理人に幸あれ!

マグロ&酢飯 (掲載).jpg


追記
パンツ洗うの忘れたけど、これから出立。またまたまた旅ですら。桜が咲き始めた倫敦は残念ながら雨模様。
| 7喰う | 15:43 | comments(0) | trackbacks(0)
今日のひと口(2)――亀の手
3月2日
今日のひと口(2)――亀の手
 「カメノテ」と書く方が普通みたいだね。Wikipediaだと「石灰質の殻をもつ岩礁海岸の固着動物で、カメノテ属唯一の種である。甲殻類ミョウガガイ科に分類される」とある。
 そして、「スペイン料理の高級食材の一つ」とも。というわけだから、実際、レストランでも高級で、マーケット・プライスという表示が多い。
 「これ、どう頼めばいいかな」
 「1皿が250gね」
 「どのくらい?」
 「このくらいね」
 お店のオバちゃんが両手の親指と人差し指で丸を作った。高いですら。大体、ざっくり、140€/kgですら。こちらで1皿分(250g)、35€でしたな。
 我が家のアクビがリスボンで見て以来、ずっと食べたがっていたブツがこのカメノテなのだった。実際に喰うのは最初は要領が分からなかったのだが、詰めの間を割るとプリンとした幹の中の身が取れる。
 写真は、剥がす前の固体と、取り出した身と、残りの殻とを説明的に並べたものだ。
 「どうかしら?」
 「ケ・ブエノ!」
 おばちゃんに抱擁されてしまいました。
 日本のカメノテとスペインのものはやや色味が違うように見える。スペインで喰うからいいんだわなあ。ルー・リードの座ったテーブルで、カメノテを喰いましたわいなりー。
 (え、言い過ぎ?)
 そうなんよ、ルー・リードもメリル・ストリープも店に来ておったんよ。それはホンマ。ルー・リードがカメノテを喰ったとは想像できないけど、これから、カメノテを喰うたんびにルー・リードの「ロックンロール」を思い出すんだろうなあ。 
 
亀の手 (掲載).jpg

追記
アクビの見たのはモロッコではなくてリスボンだって。上も訂正しておきます。
| 7喰う | 14:46 | comments(0) | trackbacks(0)
今日のひと口(1)――Iberico Hamのリゾット
3月1日
今日のひと口(1)――Iberico Hamのリゾット
 「Jamon Iberico Risotto with Manchego Cheese」というのが正式な料理名になるのかな。
 近年、Spainは世界一のシェフを軒並み輩出していて、BilbaoからSaint Sebastian辺りからはハイレベルの料理人が次々に生まれている。
 俺が言ってるのは、高級とか、高額とか、そういう意味とは全然根底から違っていてさ、本質的に超ハイレベルの料理人という意味なんだわな。
 これから5日ほど紹介する品は、どれも、凄いパワフルで、驚かされた。
 こちらはイベリコハムのリゾットなんだけど、もう、マンチェゴ・チーズが予めリゾット・ソースに溶かしてある。言うなれば、普通なら、鍋の底に残った一番味の濃くなっている部分が、この場合、リゾット全部なんだわね。
 最初の一口からクライマックスが来るんだわよ。もう、涙がドッと出てくる。俺が若ければ、絶対に厨房に入っていって両手を握って感激を伝えたくなるような味なわけなんだな。
 分からんかも知れんけど、志を持った若者は、誉められるかどうかで一生が変わるんだからね。馬齢を重ねた者はそこを真剣に考えなければイケン。馬齢の効用ってのは、それくらい。悔しいけどね。
 見かけも旨そうだろうけれど、喰ってみて、俺はホントに感激で涙が出た。
 これらの写真は今度江戸に帰国の際には、心ある調理人たちに見せてやるんだ。とりわけ魚介では日本人の料理人たちは自信を持っているけれど、油断していると、軽〜く持っていかれっちまうと俺は思ったよ。
 和食の特殊性にアグラをかいてると、全部、盗られっちまうってのは、ココロだけじゃないわけだ。
 今日から順繰りに紹介しよう。あんな土地には長居は無用だ。ボヤボヤしていたら、俺は、絶対にHBP(High Blood Pressure)で死ぬな。もしくはHA(Heart Attack)だわね。旨過ぎる。そして安過ぎる。 

Iberico Hamのリゾット (掲載).jpg
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ピンチョス地獄の釜の蓋が壊れる。
2月27日
ピンチョス地獄の釜の蓋が壊れる。
 そろそろ2月も終わりですなあ。あんまりその気がしないけど。
 ピンチョス地獄の本場でも、イベリコの里だからね。喰える間に喰わんといけん。散々喰ったけど、ま、そんなもんかな。コイツはTボーンステーキでしたけれどね。



 あまり知られていないのがメルルーサのソテー。俺の喰つたのは、予めハマグリを炊いたニンニクソースがたっぷりかかった一皿で、いきなりクライマックスだつた。
 一口だけでいきなり反射的に涙が出た。俺は美味いものを口に入れると感激で反射的に涙が出る男なのだけれど、久々に何年か振りにタップリとココロの汗が流れました。
 喰いモノで心の汗が流れるようではまあ修行が足りないんだろう。

メルルーサのソテーのハマグリとニンニクのソースかけ。
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