岡田純良帝國小倉日記

南欧はカジキ天国。
8月3日
南欧はカジキ天国。
 平成の大合併で市町村名も変わってしまったのは残念だが、鹿児島県加治木町はカジキマグロで有名だったわけではないのだった。ここの加治木とは楠のことで、この周辺には楠の大木が何本か御神木として祭られてある。
 2010年に周辺町村と合併して加治木の名は消え、姶良市になってしまったのは淋しい。

      20170722 Sardinia  (掲載).jpg

 我が一族はこの加治木とは鹿児島市を挟んでさらに西側の東シナ海に面した「市来の海岸から上がってきた」という言い伝えがあるわけだ。
 流浪の民もいいところ。難破して漂着したか、冒険して失敗して何とか生き延びたのか、あるいは、密航して辿り着いたのか。

スモークしたカジキマグロ(Sardinia産).JPG

 南イタリアではカジキを食する。ナポリやシチリア、サルディーニャでは、カジキをパスタに敢えたり、揚げ物にしたり。そしてスモークした肉をハムのようにスライスして食前のつまみにしたりするのだ。独特の風味があって、これはこれで強い主張がある。
 (なぬ?)
 初めて喰った時は魚の種類が分からなかった。
 肉身は日本で揚がる物よりも味が濃いかも知れない。淡白な日本のカジキより、もう少し香りがある。サーモンと同じようにステーキ用に腹身がぶつ切りにして並べられている。

かじきマグロの子のパスタ (掲載).jpg

 某地で喰ったのはカジキの子を日本で発達したタラコのスパゲティーのように麺と和えた一皿だった。洗練され、美味かった。分かるだろうか、パスタとソースの比率が。日本のショボたれたソースと違って、タップリと使われているのが嬉しかった。
 ところがどっこい、急転直下で、このカジキ天国ともオサラバ。どうやら、そういうことになるらしいぜ。明日はどっちだ。
| 7喰う | 15:20 | comments(0) | trackbacks(0)
魚心あれば水心――アジアン・ハイウェイ一直線(下)。
7月25日
魚心あれば水心――アジアン・ハイウェイ一直線(下)。
 Hanoi系兄弟のいる店に1ヶ月ほどしてまた裏を返した。Bun Cha Gioを喰いながらゆっくりしていると奥の厨房に建材を抱えた大工職人がどんどん入っていくではないか。
 (改装かな)
 「ちょっと聞きたいんだけど」
 ウェイターの兄貴の方に話し掛けた。
 「もし俺がBánh Da Cuaを頼んだら出してくれる?」
 「え?、Bánh Da Cuaですか」
 「そう、Bánh Da Cua」
 「西欧の人たちはシーフードをあまり好まないから」

Bánh Da Cua (5).jpg

 「それ、前にも言われた」
 「ゴメンなさい、できないです」
 兄貴は「ゴメンなさい、サー」と恐縮しながら下がっていく。
 「せっかくHải Phòng出身の料理人を4人も抱えているのに惜しいなあ」
 数分後、この日後から店に入って来た弟の方がテーブルに顔を出した。
 「こんにちは」
 「おお」
 「今、改装業者が入ったから、4〜6週間もすれば新しいマネジメントに変わります」
 小柄な弟は話好きで、店の名前は「Hanoi Kitchen」に変わる予定と言う。

          Bánh Da Tron (2)

 「それならチャンスだな」
 「新しいマネージャーにBánh Da Cua出せないかと言ってみます」
 「そうそう、そうだよ」
 「西欧人ばっかりじゃないからさ、今時は」
 「そうですね、人気出るかも」
 「Cha Caもね」
 「Cha Caはもうメニューにあります」
 「Lẩu Dêも頼むで」
 「アレはSaigonですけど」
 弟は俺の顔をまじまじと見詰めた。
 「いいのいいの、硬いこと言わない」
 この店の近くに何時も俺が行く時には締まっていてまだ入っていない店があるのだが、そちらはSaigon系の経営らしい。だから店名も「Hanoi」を改めて名乗り直すのか。

Bánh Da Cua (6).jpg

 Saigonでも、もう10年以上前に通称・柴山俊之事件という大事件が起きた。雑踏を歩く俺に、大混雑のSuper Cubの後部座席から細い腕が伸びてきて、二の腕をねっとり抱かれた上、投げキッスをされた。その投げキッスした男の姿は、
 「あれ、柴山さんだよ!」
 アクビ娘が絶叫した。
 長髪を金髪に染め、女性のブラウスを着た小柄な男性は柴山俊之に瓜二つ。どうやらSaigonではあちらの筋の女装した男性に俺はモテたらしい。あの雑踏で二の腕深く腕を絡められるなんて。Saigonもまことに奥が深い。
 ともかく、Vietnameseは優秀だが、国が未だに2つか3つあるようなもので、仲は悪いなどというものではないからやり難い。それでも、やっぱりアジア人だなと想うね。
 「魚心あれば水心」である。1度でダメなら2度押すものだわい。この兄弟が店でBánh Da Cuaを出すようになったら、万歳、俺の店だわい。友達を大勢連れてきてやろうと想う次第。

追記
この話を書いた翌週にBánh Da Cuaを市内で喰ったんだから理屈は死んでいて世間は生きているわけだよな。 今や市内にはヴェトナム料理屋の集まる地域があって、働いているのは調理場以外は香港や台湾から来た連中までもいるのだけれど、きっとその内にこの流れは大きくなるのだろう。1年半前にこれほどまで広く展開されていなかったから、London市内でどんどん拡大したのは驚くべきスピードだが、しかし驚くにはあたらない。
さて旅の間中では読み終わりそうにない継続購読中の本だがネタの宝庫で、「Odessa File」でさえ掴んでいなかったと思われる広範で高い視点のインテリジェンスが詰まっている。この年齢まで色々な地域で見聞して感じる潜在的脅威というのはやはりRC Sucessionで、彼らの手足にした国々や地域は仮の姿にしか過ぎないのだという予感を裏書してくれる。これはまたダラダラと備忘録を記しておこうと思うわけだが、俺のこんな備忘録は何のためにかと口惜しく思う時が殆どで、大抵、「そういうもんなんであるのである」(by 大隈重信)。
| 7喰う | 07:35 | comments(0) | trackbacks(0)
魚心あれば水心――アジアン・ハイウェイ一直線(上)。
7月24日
魚心あれば水心――アジアン・ハイウェイ一直線(上)。
 Hammersmith駅に程近い商店街にはVietnamese Restaurantが何店舗かできている。引っ越して間も無く入った店で、店を出る前に店員に確認する。
 「アンタ、どっち?、北?、南?」
 「北に決まってますよ」
 「おお、Hanoiだな?」
 「Saigonダメね」
 彼らと仲良くなるには、こうして出身地を聞かないと話が始まらないのだ。この時は5月末か6月の初め。Hanoi系と分かった。ここで喰ったBun Cha Gioは、Londonにしてはまぁまぁの味だったからだ。

Bánh Da Cua (4).jpg

 「Hanoiなのかい」
 「母親はもっと河口の街」
 「Hải Phòngか」
 「知ってるの?」
 「Bánh Da Cuaだ!」
 「そう、Bánh Da Cuaだ!」
 そこで一段と声が大きくなった。
 店番をやっている兄弟の母親はHải Phòngで生まれてHanoiに引っ越した。だから家ではHải Phòng名物の海蟹肉をほぐしたBánh Da Cua Beをよく食べたというわけだ。
 Bánh Da Cuaは伊藤忍さんの紹介で日本でも大人気になったVietnamese Noodle Soupの一種で、田蟹と海蟹をダシにして、殻ごとすり潰した蟹を漉して溶け込ませたり、蟹味噌を加えたりするコテコテの汁麺。
 麺はBánh Da。Phoと違い天日でからからに干した平麺。とりわけ名物はさとうきびの汁を溶かした薄黒いもので、スープと溶け合って段々とこってりとした味となって、汁を吸ってどんどん麺の色も濃くなってくるのだ。

Bánh Da Tron (1).jpg

 2012年にHanoiに行った時は傑作な事件が勃発して、某所を“小倉の料理番長”と歩いていると、現地事務所の顔見知りの女の子が雑踏の向こうから俺に声を掛けてきた。
 「岡田さ〜ん!」
 そして、俺が女連れだと気付いた途端、目を逸らした。
 「ああ、この人!、家内よ、ダイ・ジョウ・ブーだよ!」
 「ああ、私、愛人かと想いました!、ゴメンナサーイ!」
 そして3人で大笑いになったことがある。ということは、Hanoi辺りでは「現地妻」を連れて堂々と繁華街を歩いている剛の者がいるということなんだろうけれど。

Bánh Da Cua (7).jpg

 Bánh Da Cuaは、あの旅でかなり喰った。白身魚のさつま揚げ、揚げ豆腐、Nem Chua(醗酵ソーセージ)、割いた空心菜、もやし、豚挽肉等、出す店によってBánh Da Cuaにもバリエーションが数限り無くある。
 近頃では、汁なし麺のBánh Da Trộn、さらにはBánh Da Cua Xaoという焼ソバ系Bánh Da Cuaの亜流も人気が出てきたそうだ。屋台や食堂で色々喰い散らかしてみたが、そのどれも美味かった。
 Vietnameseが好きなのは、貧しくとも美味く喰う努力を惜しまない。そして、毎晩、ニコニコと乾杯して飲みまくる明るさが俺は大好きだ。

追記
今日は某所でちょっとした事故があり、くたびれてしまったのだけれど、それも考えてみればむべなるかな、だぜ。何かまたまた厄年の頃みたいなついてない連鎖で、ちぇっ、てな気分だけれど、まぁ、怒る気持ちが湧いて来ない。それがポイントかな。昔とは違ってきたなあ。気力が湧いて来ないってのも問題だわね。
| 7喰う | 06:13 | comments(0) | trackbacks(0)
Banh Da Cua at London....
7月19日
Banh Da Cua at London....
 ロンドンでBanh Da Cuaがあったのだった。僅かに半年ほど行かなかったら、某所は凄いことになっていたわいね。


  20170719 Bun Bun Bun (掲載).jpg
| 7喰う | 15:26 | comments(0) | trackbacks(0)
あんた、トンカツ大将?――イベリコ豚のトンカツ。
7月6日
あんた、トンカツ大将?――イベリコ豚のトンカツ。
 というわけで、トンカツを喰いに某所まで。ここのトンカツは何とイベリコ豚。あんた、トンカツ大将ですか?
 まささん、2度揚げしてましたな。衣も薄く、カリッとしてて。何も言うことないよ。俺、ソース殆ど付けなかったもの。マスタードだけちょいちょい付けただけ。
 日EPAの合意間近で、この調印が進めば、近い内にイベリコ豚もドドドっと入っていくかも知れない。これに受けて立つ日本各地の黒豚軍団との一騎打ちになるわけだ。豚肉は美味い肉身はホントに美味いからねえ。そういうハイレベルの味の競合は消費者としては大歓迎だわね。
 それにしても例の獣医学部新設問題は、四国の県知事全員が共同で設立申請していた話だとかを聞いた。これまた日本の畜産業界ではあらゆる面で人手が不足していて、肉牛だのブロイラーだのの産業が裾野の拡がる条件として、専門の医者すら足りないという側面があるのだそうだ。
 日EPAで打撃を受けてそのまま廃業してしまう業者がある一定の線を超えると、御当地の自動車産業とか家電産業のように、往時は巨大化していたのに、産業そのものが国の中から消えてしまう。
 そうして80年代のアメリカやイギリスのように、外資に頼らざろう得ない時代・時期が来ることになるわけなんだけどねえ。その時になって、今からと二の腕をまくっても、もう遅い。産業史から振り返れば明らかな流れに乗っているわけだけれど、その方向に棹差す人がいないわけよ。
 とまれ、市内でこれだけのトンカツ喰えるのだから、俺のような現在外地で暮らす人間にはいい時代にはなった。だけど、お国がどうなるか、ちょいと心配でならねえなぁ。

某所のイベリコ豚のトンカツ
| 7喰う | 15:01 | comments(0) | trackbacks(0)
最近のお気に入り――アサリと豚三枚肉とのソテー。
6月26日
最近のお気に入り――アサリと豚三枚肉とのソテー。
 引っ越してほぼ1ヶ月。この間、大事件が続いて、街の様子も一変した。暮らし振りも変わって、日々調達する酒や野菜の内容も少しずつ変わっている。
 これまではワンストップ・ショッピングになっていたのだが、昔の商店街の買い物ではないが、少しずつ専門店に顔を出して試行錯誤を繰り返しているところ。

アサリと豚三枚肉のソテー (4).jpg


 例えば、素材でいくと、以前ならアサリだとか豚の三枚肉だとかいうものは、調達し難い環境だったのだが、今は少し歩けばこういう素材は調達ができる。
 先週末には牛や豚の(しゃぶしゃぶほどでない)薄切り肉も調達できる場所を見つけたので、これから肉ウドンやらできるようになるのが嬉しい。
 こちらは先月辺りから急に傾斜中のBalzac御用達のVouvrayの白ワイン。料理に合わせるにはこのMedium Dryはグーだわねえ。こういうチョイスが中々楽しくなってきたねえ。深まってきたということだ。
 これから某所経由でParis。旅は続くのだった。

     Domaine Vieux Vavret Medium Dry.jpg
| 7喰う | 14:03 | comments(0) | trackbacks(0)
弁當ラーメン――近頃の欧州ラーメン事情。
6月24日
弁當ラーメン――近頃の欧州ラーメン事情。
 4年前にはドイツがラーメンの中心だったのに、今ではパリがラーメンの中心になった。ことラーメンに関しては、ドイツは置いてけぼりを喰った。5年前は大西洋の向こう側のニューヨークだった。考え合わせると、興味深い一連の流れ。金の流れの順番が面白いもんだ。
 日本の繊細なラーメンは、こちらの人間には分からないから、分かり易いプレゼンテーションとパフォーマンスが
店の人気を左右する――と言われていたんだけどねえ。
 来週日本に戻って来いとか、東京に来ないかとか――色々なメールが飛んでくるけれど、さて、どうなんだろう。新聞諸兄姐がもっとベンキョーしていい報道してくれればこんなに体力を浪費しなくてもいいはずなんだけれどな。

弁當ラーメン豚骨そば
| 7喰う | 15:36 | comments(0) | trackbacks(0)
喰わんと参るで。
6月20日
喰わんと参るで。
 32度と言っても、理解されない暑さ。アパートにはエアコンは無い。デパートやレストラン、あるいは事務所にはあるが、一般の住宅にはクーラーの機能は無いわけだ。
 ヤマキの魚介醤油つけうどんつゆを買ってきたので、早速、やってみました。だって食欲湧かないんだモノ。

ヤマキ 魚介醤油つけうどんつゆ20170619 (5).JPG

 こちらは先日紹介した近所のヴェト飯屋でチャレンジした豚焼肉と豚肉ボールのブンから随分と趣旨は違うねえ。アルゼンチンのステーキ屋ですな。大して美味いと想わなかったけど、美味そうな顔して喰ったよ。
 牛肉は俺の身体に合わないようだねえ。豚と鶏は問題無いんだけれど…だからやっぱり遺伝子は南方系の方が強いんだろうなあ。

 「南方から猛烈なHeat Waveです!」

 ともかく、5日間の30度超え連続は20年振りの猛暑だって。BBCのアナウンサーが絶叫する度に、俺の脳裏にサウンドが浮かぶ。暑苦しい、Paul WellerセンセイのVersionで。

  Fille & Rib Eye Steak (1).jpg
| 7喰う | 14:23 | comments(0) | trackbacks(0)
生活の知恵――各国料理で間に合わせ。
6月13日
生活の知恵――各国料理で間に合わせ。
 無性にGarlic Crab Pastaが喰いたくなる時がある。そんな時は近所のスペイン飯屋で蟹肉をタップリ使ってチリを効かせたパスタを喰うことに決めた。オホホホホホホホ。
 ごまかしに過ぎないのだが、これも暮らしのなかでは必要なことだ。

Crab Meat Linguine with Chili.jpg

 こちらはCrab Fried Riceを喰いたくなる時に仕込んであるNasi Gorengの素を使ったチキンのNasi Gorengなのだ。日本では黒豚の薄切り肉などを使って最高のNasi Gorengが喰えた。

牛挽肉.JPG

 文句を言いたいのは、こちらでは豚肉の薄切りが売っていないことだ。ついでに書いておくと鶏肉の挽肉が売っていないのも面白くない。
 豚肉の薄切りならこういう料理でもいい味が出るし、肉うどんなどをする時にも効果抜群なのだ。また、鶏挽肉はLab Kaiなどでは肝心要の食材。色々細かいところで不如意なのだ。
 だからそういう時には各国料理で間に合わせる、それも生活の知恵。

Nasi Goreng (掲載).JPG
| 7喰う | 15:52 | comments(0) | trackbacks(0)
喰ってます――Tagliatelle。
6月5日
喰ってます――Tagliatelle。
 某所で喰ったTagliatelle。これは美味かったのだけれど、まだこういう味には遭遇できていないのが御当地。道は遠ければ遠いほどええんやとは誰が言うたんですかいのう。遠いと腹が減るし歳が寄るわい。オホホホホホ。

Tagliatelle with wild boar ragout red wine reduction and Ubriaco cheese
| 7喰う | 15:05 | comments(0) | trackbacks(0)
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